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どうしてる?メンタルが落ちている時の日本語レッスン
教師だって人間だもの
Cotoのオンラインレッスンは、24時間365日稼働しています。ありがたいことに、この年末年始も一部の学生さんからレッスンを受けたいとのご要望があり、私は大晦日も元日もWelcome!と、レッスンの予約を受け付けることにしました。
でも結果的に、この間は心身共にしんどかったです…。あっ、年末年始も働いたからではありません。Cotoは事前に申請・調整すれば、休もうと思えば休める労働環境ですし、それに私自身はずっとサービス業界で生きてきたので、盆も正月も働くのはむしろ普通です。
実は年末に、私のペットの老鳥が突然病気になってしまったんです。タイミング悪く動物病院がお休みに入っており、自宅でできる限りの看病をするしかない日々。夜も、起きて様子を見て、またちょっと寝て…を繰り返し、ずっと気持ちが張り詰めた状態。レッスン中も「このレッスンの間にもしかしたら…」と湧き上がる不安と、「いや!ダメだ!集中…集中…」という責任感がせめぎ合います。
正月明けの朝一番でやっと動物病院に行くことができ、自宅に帰って来た途端、緊張の糸が切れてぐったり。獣医さんのおかげで一命をとりとめたものの、その後も嫌がる鳥ちゃんに無理やり薬を飲ます日々が続きました。
ようやく小康状態となり、飼い主も人心地ついたわけですが、あらためて日本語教師という仕事は感情労働だな〜と、じみじみと実感しております。
教師のプライベートで何があろうが、学生さんには関係ないことですから、いつも安定したメンタルで、明るく楽しくわかりやすいレッスンを提供しなければなりません。
不安に苛まれていても、悲しみに沈んでいても、イライラしていても、やる気がなくても、体調が悪くても、です。
しかし、私たちも人間。年がら年中365日、元気で明るくやる気に満ちている!…なんてこと、ありえるのでしょうか??
というわけで今回は、教師のメンタルがあまり良くないときのレッスンについて、あれこれ考えていきたいと思います。
メンタルが落ちている…どう対処してる?
一言で「メンタルが落ちている」といっても、様々な原因や状況があると思います。ざっくりパターン分けしてみました。
パターン① 仕事スイッチが入らない・やる気がでない
「落ち込んでいる」とか「不安に押しつぶされそう」といった状態ではなく、「面倒臭〜い」という状態と言ったらいいでしょうか。レッスン準備をしないといけないけど億劫…、宿題をチェックしないといけないけど後回しにしたい…。そんな状態です。
特に長い休みが明ける前や、カレンダー通りに働いている人にとっては「日曜日の夜」に起こりやすいようです(いわゆるサザエさん症候群)。
問題なのは、「やらなきゃ…やらなきゃ…」と思いながら、なかなか取りかかれない自分を責めてしまうこと。
『細分化して片付ける30分仕事術 ──あえての時間しばりが最高の結果をもたらす』には、先送りにしないヒントとして、やるべきことは脳のエネルギーが満タンな状態の朝一にやることがおすすめされています。ちなみに私もこの記事を朝一で書いております。そしてまだ顔も洗っていません(笑)
また、「完璧にやろう」とか「3時間やろう」とか、ハードルを上げるとそもそも取りかかれないので、「5分(最長でも30分)だけやろう」「ここの部分だけやろう」とハードルを低くすることも紹介されています。少しだけやってやめてもいいですし、行動興奮により続けられたらそのまま続けてもいいでしょう。
また『すぐやる! 「後回し」をやめる“科学的な”方法』には、著者の作業療法士としての経験を元に、脳に入る情報をコントールすることで「すぐやる!」モードにさせる方法が紹介されています。脳が疲れないように、視覚に入る情報量をコントロールする一例として、机の上に必要なものを置かないことなどが挙げられています。
このような「すぐ取りかかる」「後回しを防ぐ」方法については、実にたくさんの方法がありますので、また別の機会に記事にできればと思っています。
パターン② 心が傷ついている・落ち込んでいる・イライラする
「さっきのレッスン、学生さんと全然話がかみ合わなかった…」「失礼な態度をとられた!」「一生懸命教えているのになかなか上達しない」など、主に人間関係に起因して心がざわめいているような状態です。
一時的なことが多いですが、この状態が繰り返し続くと、常に疲労感を感じたり、仕事が嫌になったり、被害者意識が強くなったり、そして他者に八つ当たりしてしまったりすることさえあります。
私は、どんな仕事でも真面目で一生懸命な人ほどストレスをためやすいと感じています。また、他者の気持ちに敏感で優しい人ほど、人からのネガティブな言葉や態度に心を痛めてしまいやすいでしょう。もし思い当たることがあれば、下記の記事を参考にしていただければ嬉しいです。
日本語教師が病まないために:日本語教師のメンタルヘルスを考える
日本語教師のメンタルヘルス:学生からのフィードバックの受け止め方
パターン③ 心に余裕がない・疲れ切っている
プライベートが大変、心身ともに疲れ切ってしまい笑顔が作れない、心配事で頭がいっぱい…。そんな状態になることは、人生で何度も訪れます。
私事ですが、私も今回のペットの件以外にも、ここ数年を振り返りますと色々ありました。家族の病気、仕事上のトラブル、自身の過労による体調不調、地震による被災…。
このパターン3のような場合は、できるだけ無理をせず、心身を休めるのが一番です。
ただ、そうもいかない場合もあると思います。
私はCoto以外でも仕事をしており、そちらはいったん仕事を引き受けたら途中で降りることができません。
そんなわけで、家族の告別式の日や、友人が自ら命を絶ってしまった日も、ご依頼いただいた仕事を笑顔で全うしました。もう…どうやって仕事に向かい帰宅したかすら記憶がありませんが、仕事中はクライアントにご迷惑をおかけしないよう、「今日は、Best(最高)の仕事がでなくても自分を責めない。Better(今できる最善)・Must(最低限合格)の仕事をしよう」と、自分に言い続けていました。
それは、罪悪感や喪失感から燃え尽き状態に陥らないため、また、被害者意識を抱いて他者を攻撃しないようにするための精一杯の方法だからです。
なお、責任感の強い方ほど読んでいただきたいのはこちらの記事です。ご参考までに。
チャットコミュニケーションの罠 ~日本語教師のメンタルを守るために~
パターン④ ホルモンや年齢による危機
更年期障害やミドルエイジ・クライシス(中年の危機)など、ホルモンの変化や年を重ねることによって起こる危機です。
パターン⑤ 今までのやり方が通用しない戸惑い・自信喪失
一般的には、新人よりもベテランの方が知識も経験がある分、問題解決できるので、仕事が上手くいきやすいはずです。しかし、どの職場・職業でも「今までのやり方が通用しなくなる」ことが起こりえます。これはベテランであること故の危機で、自信喪失や意欲減退にもつながります。
パターン④と⑤については、自分ひとりの力で何とかするのは不可能なのではないかと感じます。いかに周りにSOSを出していけるかが重要なのではないでしょうか。誰もが人生で大変な時期があるので、みんなで支え合っていきたいですね。気軽に雑談をすることが対面よりも難しいオンライン教師は、特に気をつけたいものです。
オンライン日本語教師は「孤独」なのか?【Cotoの取り組み】
というわけで、今回も徒然なるままに書き綴ってきましたが、まだまだ書きたいことがあって、終わりが見えません(笑)
私自身日本語教師という仕事をしていて、いつも働く人のメンタルについて考えさせられています。今後も、読んでくださる日本語教師の方々の心が少しでも軽くなるような記事を書いていけたらと思っております。
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