中級文法コラム1.「と・ば・たら」って何が違うんですか?
文章を読んでいる途中で、「先生、<~と> と <~たら> は何がちがいますか?」なんて急に聞かれたら焦っちゃいますね。こんなとき、講師がしっかり理解していないと答えられません。
じゃあ、これらの違いって何でしょう。ちょっと例文を作ってみましょう。
<例文1>
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この中に違和感のある例文は・・・ ありませんね。
「と・ば・たら」の意味を整理すると・・・
ボタンを押すと、コーヒーがでます。
⇒ ボタンを押したとき、いつも同じことが起こる。
*~したとき、いつも同じ結果になる(ことがわかっている)。
ボタンを押せば、コーヒーがでます。
⇒ コーヒーを飲むために必要なのは、ボタンを押すこと。
*後件を実現するための条件は、前件。前件を達成したときは、後件が起きる/できる
前件を達成していないときは、後件が起きない/できない。
ボタンを押したら、コーヒーがでます。
⇒ ボタンを押した後、次にコーヒーがでる。
*前件の後の行為や結果。
これらの例文が全部正しいのは、ちゃんと文型のルールに沿っているからです。
でも、この説明では学習者にはわかりにくいですね。ちょっと違う例文で考えてみましょう。
「と・ば・たら」授業のワンポイント・アドバイス!
<例文2>
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この中に違和感のある文はあるでしょうか?
学習者にこの質問をすると、大体みんな全部正しいと言いますが・・・
「と」と「ば」は何かおかしいと思いませんか?
うちに帰ると、シャワーを浴びます。
「と」はいつも同じことが起こります。しかも、自分の意思とは無関係に。
仕事が終わって家に帰って、ドアを開けると、玄関の天井から自動でシャワーが出てきてしまうイメージでしょうか。
ちょっと、コンビニに行って帰ってくると玄関でシャワー。「行ってきまーす」と出かけたけど、あ、スマホ忘れた。家に戻ると玄関でシャワー・・・ 「うちに帰ると、シャワーを浴びる」 大変ですね・・・。
こんな話をアクション付きで学習者としていると、盛り上がりますし、理解もしてくれます。
うちに帰れば、シャワーを浴びます。
「ば」は条件です。条件を達成すればできますが、達成しなければできません。
シャワーを浴びるためには、家に帰らなければいけません。
シャワーを浴びるために必要なことは、家に帰ることです。でも、今学校にいるのでシャワーを浴びることはできません。
夏場に汗をかいている学生がいたら、「シャワーを浴びたいですか? どうぞ、今浴びてもいいですよ」なんていじってみてください。家に帰らなければ浴びられませんから、そんなこと言われた学生も「今、できません…」と困惑するでしょう。そこで、シャワーを浴びるための条件は、家に帰ることだと提示します。
自分の意思で「浴びます」ではなく、条件を達成すればできることなので、文末は「浴びられます」がいいですね。
うちに帰ったら、シャワーを浴びます。
「たら」は、うちに帰って、そのあとシャワーを浴びる。行動の順番を言っているだけです。
すごくシンプルですね。学生も、「え? それだけ」と意外そうな顔をします。
条件表現は教師にとっても、学習者にとっても難しい項目です。色々な例文をあげて、使い分けについて考えてみましょう。「と・ば・たら」について考える際のヒントになれば幸いです!
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