日本語教師の先輩体験談~国内でボランティアで日本語を教える~

日本語教師の先輩体験談~国内でボランティアで日本語を教える~

今日はIさんにボランティアの体験を伺いました。ちなみにIさんには、技能実習生向けオンライングループレッスンのお話も伺っています。ぜひ合わせて読んでみてください。

ボランティア日本語教師を始めたきっかけ

きっかけはふたつあります。

ひとつ目は、日本語教師として働く前に、ボランティアではどのように教えるのか、学校教育との違いや、どういう人が日本語を学びたいと思っているのか知りたかったからです。

 ふたつ目は、養成講座に通いながらボランティア活動をしたのですが、養成講座を卒業するまでの間に、教える練習をしたかったからです。日本語養成講座でも外国人を対象にした模擬授業はありますが、経験を積むうえでも利用したかったからです。

ボランティア日本語教師を始める準備

特別な準備はありませんでしたが、あえていうならボランティアの団体は沢山あったので、どのボランティアにするか事前に見学へ行きました。最終的にひとつのボランティア団体に加入したのですが、ボランティアの日は、ノートや筆記用具と、類語辞典は持参しました。教材は、ボランティア室にあるので自分で購入する必要はありません。しかし、当日どのレベルの方に何を聞かれるのか分からないので、『外国人が日本語教師によくする100の質問』という書籍を購入し、事前に読んでいました。

ボランティアでの日本語レッスン

必要な教材は、団体が準備しています。その日の学習者のニーズに合わせて教材を選んだり、オリジナルで授業展開したりしても構いません。「こうしてください」という指示がありませんので、自由です。経験がないと、どのように展開していこうか迷うところでもあります。もちろん、事前の準備や教案もありません。学習者も定期の人は、固定の先生が決まっていますが、基本は、マンツーマンで教えます。JLPTを受けようとしている人は、試験対策の勉強をしますし、ゼロ初級でひらがなの書き方や発音からスタートする人もいます。ボランティアを利用する人は、生活者や技能実習生の方が多かったです。1回のレッスンは3時間で、休憩せず学習したいと熱心な人もいますし、3時間経たずに、帰る人もいます。

ボランティア日本語教師の待遇

ボランティアなので、報酬はありません。私が利用したボランティア団体は、交通費もありませんでした。ボランティアをする側が、団体に加入するのに1,000円支払います。学習者は、団体に月200円払いますが、双方から徴収されたものは、授業で使用する教材などの購入費に充てられているようです。ボランティアの団体なので、運営する役員が当番制で回ってきますが、役員になっても無報酬なのは変りません。授業で必要な書籍などは、団体にリクエストするとボランティア室に揃えてくれます。

ボランティアで日本語を教えて良かったこと

教育現場で働く前に、学習者に教える経験ができたことで日本語教育現場のイメージをすることができたのは、良かったです。また、無資格者と有資格者の違いについて学べたことで教える人の区別もできました。日本語学校に行きたいけどお金がなくてボランティアを利用する人もいますが、日本語学校とボランティア教室の区別を理解することができたのは、大きな収穫だと思います。日本語を教えるのに違いがないと思っていましたが、日本語教師として報酬をもらっている以上、責任の重みを痛感できたのは良かったです。

ボランティアで日本語を教えて大変だったこと

ボランティアですから学習者も定期的に出席するわけではなく、ボランティアで教える高齢者の方が多い日もありました。また、学習者は日本語教育を段階的に教わっていないし、無資格者も教えていますから、当日学習者のバックグランドが分からないまま、どこから教えようか迷ったこともありました。それから、ボランティア室は個室じゃありません。当日、ボランティアに参加される方の数も把握できていないので、教室に入りきらない程の学習者がくることもあります。そうなると、隣で勉強している人との距離が近いです。お互い勉強していることが違うので、授業に集中させるのも大変でした。

ボランティアで日本語を教えることを検討されている方へ

日本語教師として、ボランティアでの経験はおすすめします。団体の方針もさまざまですから、色んな団体の方針を確認するといいことを以下にまとめます。

・有償ボランティアか無償ボランティアなのか

・交通費は支給されるのか

・教材費は揃えてあるのか

・必要な教材は、自腹になるのか?揃えてくれるのか

・ボランティア団体への加入にお金を払うのか

・団体の取り決めについて(例えば当日欠席など)

・学習者と連絡先を交換することは必須なのか

・団体の役員は当番制なのか希望者なのか

・利用する学習者について

いきなり団体へ加入するより、見学に行って雰囲気をみたり、実際に団体役員の方と話したりして、そのボランティアの特徴を知ることをおすすします。なかには、イベントが開催され花見をしたり、お祭りを催したりと文化に触れた日本語教育をしているところもあります。どのような学習者を取り入れたいのか、どのような学習者が利用しているのか、それに合ったニーズはなにか?自身の勉強のためにボランティアをしてみるという観点からおすすめします。あくまでも、日本語教育の現場で働く前の経験のひとつとして行うのはいいと思います。

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