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「〜つもりだ」だれが、どんなとき、どう使う?
3年前「〜つもりだ」の記事を書いていたのですが、これがあまりにあっさりしていた・・・(自分で書いておきながらビックリ)。今回、校内で例文トレーニング勉強会をファシリテートするにあたりもう一度整理整頓しました。また先日開催した勉強会でさらに先生方から学びを得ることができたので、まるっと記事を書き直すことにしました。
『げんき』では「Verb(short, present)+つもりだ」は第10課で出てきます。
ちなみに教科書の例文はこんな感じ
- 私は週末にたけしさんとテニスをするつもりです。
- 山下先生は明日学校に来ないつもりです。
- お寺を見に行くつもりでしたが、天気がよくなかったから、行きませんでした。
- 「メアリーさん、冬休みはどうしますか。」「北海道か九州に行くつもりですが、まだ決めていません。」
「〜つもりだ」で分析スタート!
ワークショップに参加した皆さんには、はじめの5分間で例文を一人10個以上作ってもらっています。語彙のコントロールは一切なし。ばばーっと書き出してもらい、みんなで例文を眺めながら分析をしました。
どんな場面で使うことが多い?会話のなかでどう使う?
「〜つもりだ」は会話のやりとりの中で使われますので、「〜つもりだ」と答えたくなる質問をまず考えてもらいました。
「卒業したら、どうしますか。」「今度、国から両親が来るんです」「GW(や夏休みなど)の予定は?」など
さっそく、あげてもらった場面でサクッと例文を作ってもらいました。ここからは語彙コントロールありで。
①「卒業したら、どうしますか?」:国に帰るつもりです。大学院に行くつもりです。弁護士になるつもりです。起業するつもりです。・・・「なる」「する」が多い。あまり動詞にバリエーションがないですね。Cotoの学習者は大人、お仕事をされている方がほとんどなので不向き。❌
②「今度、国から両親が来るんです?」:空港に迎えに行くつもりです。浅草に連れていくつもりです。富士山を見に行くつもりです。・・・どうもこの場面だと「〜に行く」を使いたくなっちゃうようです。動詞1こじゃ練習にならないので❌
③「今度のGW、どうしますか?」:掃除するつもりです。うちでゆっくりするつもりです。どこにも行かないつもりです。サッカーの試合を見るつもりです。友だちと出かけるつもりです。京都に行くつもりです。どこにも行かないつもりです。・・・「する」が多いけれど、『文法コロケーションハンドブック』でも圧倒的に「する」が多いので、これは致し方なし。それでも、いろんな動詞がたくさん出てきました!「ない形」が出てきたのもgood。採用⭕️
ということで、導入場面は「休みの予定を聞く」のようなものがよさそうです。こんな感じでそれぞれの場面で例文をだしながら導入場面を決定していくといいと思います!
「〜つもりだ」の機能は?
上の③の場面を使って、分析してみます。この答えって、どんなものが出ることが予想されますか。
Q: 今年の夏休み、どうしますか?
1.国へ帰ります。(自分の意志をはっきり相手に伝えるイメージ)
2.国へ帰ろうと思います/思っています。(自分の意志をはっきり伝えているが、「思う」で和らげている)
3.国へ帰りたいと思います/思っています。(自分の願望を伝え、「思う」をで和らげている)
4.国へ帰る予定です。(自分の意志に基づくものか否かはわからないけど、とにかく予定がある。カレンダーを見ながら言っているイメージ。客観的)
5.国へ帰るつもりです。(自分で決めている。意志を表すけれど「~予定だ」のような意味合いも含む)
なるほど。「〜つもりだ」は、機能が「意志+予定」、そして個人的な意思決定って感じがしますね。でも、次のような場合はいかがでしょうか。
Q: これから飲みに行くんですが、一緒に行きませんか?
1.いいですね。行きます。 ◎
2.いいですね。行こうと思います。 ⚪︎
3.いいですね。行くつもりです。 ???
うーん。しっくりきません。「〜つもりだ」は今現在決めたことや思いつきにはなじまないようです。前もって自身で決めていたこと、計画していたことに使うようですね。
今回WSに参加された先生が、ご自身のエピソードと気づきをシェアしてくれましたのでご紹介します。
お題の「つもり」はわかったつもり(!)になっていましたが、instant decision(その場の思いつき)にはなじまないという観点が抜け落ちていたことに気づきました。朝イチのクラスの学生に「今日、晩ごはんに何を作りますか」という質問はあまり適切ではなかったかも。かといって、夕方近くだと献立は決まっている人が多いだろうから「つもり」より「ハンバーグを作ります!」みたいに「ます」で言い切ったほうが自然な感じもしますね。レッスンのあとスーパーに買い物に行くという人が多い11時台から午後早い時間のクラスの学生にだけ「今日、晩ごはんに、何をつくりますか/つくるつもりですか」を積極的に使っていこうと思いました。
質問文で使える?
もう一つ、「〜つもりだ」を使い方について考えてみます。
<例> 先生は夏休みどこへいらっしゃるつもりですか。
これは言いませんね。上の例文の場合、「いらっしゃいますか」や「いらっしゃるご予定ですか」のほうがいいです。目上の人に尋ねる時に「〜つもりですか」と聞くのはかなりぶしつけで失礼です。
ただ、そもそも質問文で「つもり」を使うのは圧 強めです。もしレッスンの休み時間にこそっと逃亡する人がいたら、はぁ?いったい何を考えているの??と思って、「どこに行くつもりですか」と言うかもしれませんが・・・(Cotoの学生にはそんな方は一切おりませんよ〜 笑)
「どうするつもり?」なんて問い詰められているシーンしか思いつかないですからね。言われた方は心穏やかにはいられません。
「えっ、先に食べるつもり?」これは先に食べないだろうという前提がある場合に使います。「確認だけど、あなたは先に食べるの?え、一緒じゃないの??理解できないんだけど…」というニュアンスですかね。
相手の意志を確認したくなるような状況がある場合に「~つもり」は使われます。そして、そこには相手への不信感や不満が垣間見られます。
質問文が作れないわけではないし、使うシーンもあるけれど、使う時は相手がだれであれ少し注意が必要ということです。気をつけないと大変なことになります。なので、私は「~つもりです」で質問文を作る練習はしていません。通常、基本練習と応用練習の間でQA練習をしますが、こういう時はスキップしてOKと判断できるか、先生の力量ですね。
主語は誰?
先生方に例文をあげてもらったところ、全ての例文に主語がありませんでした。主語は全部「わたし」だったからです。「〜つもりだ」は「私=話し手」の意志を表す場合がほとんどです。
念のため、確認をしておきましょう。次の2つの例文はいかがでしょうか。
- 山下先生は明日学校に来ないつもりです。
- メアリーさんは明日、授業を休むつもりです。
決して間違いではありませんが・・・この場合、私が山下先生/メアリーさんの予定や意向がわかる場合は使えますが、わからない場合は「〜つもりのようです」や「〜つもりらしいです」といった表現のほうがいいかもしれませんね。
第三者の意志や計画がはっきりとわからない場合には使わないので、学生には「話し手の意志を表すときに使う」と伝えてしまってもいいように思います。
みなさん、いかがでしたか。「〜つもりだ」は初級の段階では「話し手の意志を表す」でいいと思います。このようなプロセスで例文を考えていくと、誰がどんな時どう使うかが見えてきます。「教えるべきところ/今は教えなくていいところ」「質問されたら/誤文があったらどう対応するか」がクリアーに見えてきます。「わかること」は「分けること」。 たーくさん例文を出して検証してみてください!
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