JLPT N3までの道

JLPT N3までの道

先日「N3合格への道」と題して、中級レベルのテストに挑む心構え、学習計画の立て方、対策本の紹介などについて勉強会を行いました。私もつい先日、ゼロ初級の学生に言われました。「帰化申請したいけど、2年でN3レベルまでいけるか」と。まあ2年間毎日学校に来て勉強できるならね…という感じですが、いやあ、フルタイムで働きながらというのは非常に厳しいっす。このように、ある日突然の学習者からの告白、「先生、わたしN3受けてみたい!」に面食らってしまわないために(笑)、まずはN3とは何ぞや?を紐解いていきましょう。

JLPT N3とは? N4との違い

読解が「長く」なり「難しく」なる

  1. 時間:文字語彙読解パート(N4 55分→ N3 70分)
  2. 文字数&量:初めて「長文(550字)」問題が出題される (短文×4 中文×2 長文×2)
  3. 内容:漢字語彙が多くなる = 観念語彙が増える →具体性のない観念的な文章も出現する

より書き言葉、よりフォーマルなもの言い(文型・文脈)が増える

漢字の量が増える

650~700 N4(300)までの倍以上

→漢字の量が増えるということは、語彙の量も増えるということ(語彙は+2200で3700)

語彙の難易度が上がる

→使う場面などが限定されていたり、抽象度の高い語彙の出現。 ex.) 状況、状態、様子、見かけ、見た目

→非漢字圏の学習者には一気にハードルが上がる

意味が似通った文型(+接続のルールが煩雑)で一気に迷宮に入り

→もの・こと・わけ

→めぐって、ついて、関して、対して

 

というわけで、学習者も先生もN3を受けるならそれなりの覚悟が必要なのです。

現時点での学習者の実力やモチベーションや生活環境などにもよりますが、Cotoの学生のように週に1、2回しかレッスンをしていないN4合格したての学生だと、合格までには 1.5年〜2年かかるるでしょう。

「いやいや1年で」などもっとはやく合格したいという学習者は、強い合格への意志と独習の努力が必要になってきます。そして、闇雲に勉強しても合格することはできません。講師には、文法や語彙のよりクリアな説明が求められる(場面、硬さ、接続など) プロとしてテクニカル(文法説明、試験の要領)サポートが必要になってきます。

N3対策レッスンをスタートする前に

ふわっとJLPT対策レッスンに入るのではなく、スタート前に下のような表を見せながら、N3ってこんな感じなんですよ〜とお伝えしつつ、「いつ受ける?」「どうして?」「学校に週何回、何レッスン来られる?」「うちで(自分で)1日どれぐらい勉強できる?」「漢字と語彙は自分でやるんだよ」などをしっかり確認をし、学習者と意識をすり合わせておくことをオススメします!

 

「N3までの道」便利なツール

「N3までの道」番外編として、勉強会後のフィードバックシートでいただいた質問を一つとりあげながら、対策に使える便利なツール(Mega List ©coto japanese academy)も一緒にご紹介します!

<質問>

「N3を受けるには力不足だなぁと思える学生がよくいます。本人の意気込みに水を注さずに次回、次々回に照準を合わせて一緒に頑張ろう!みたいな持って行き方のお知恵を共有したいなと思っていました。」

<答え>

本人のやる気をそぐことなく、でも時間をかけて学ぶことをおススメしたいということですね。cotoの学生さんの傾向として、N4まではわりと楽勝だったから、N3もこのまま(の勉強法やモチベーションで)行けるんじゃない?と考えている方は確かに多いです。

その幸福な勘違いは、どこから来るのか。

一つには、日本語は中級から、語彙や漢字のハードルが高くなるという事実認識の不足もあるでしょう。また、初級までは多少あいまいな文法知識でも、聞き覚えたことだけでも何とか合格できた、しかし中級以降はそうはいかないということを知らないというのもありそうです。

というわけで、次はN3!と目標と決めたとき、まず講師が行うべきは、そのような認識を改めていくこと、今いる場所を講師と学習者で共通認識を持つこと、そのうえで目標までの道のりをシェアすることが大事です。そこで大事なのが、事実の提示、達成度の見える化です。

では具体的にどうするか。そこでおススメしたいのが、cotoが作成したMega Listの使用です。

Mega Listとは、レベル毎にカバーすべき漢字・語彙・文型の網羅的リストです。これを使うことで、
1)必要な漢字数、語彙数の提示ができる ⇒ 事実の提示
2)到達度のチェックシートとしても使える⇒ 達成度の見える化
が、可能になります。

中級の壁の高さは、言葉で伝えるより、視覚化することが大事です。なによりそれは学習者のモチベーションにつながります。目の前の山がどれぐらいの高さなのか、登ってやろうと奮い立つのか、諦めモードになるのか。それは学習者によっても違いますが、現実を提示することが最初のステップであることは確かです。

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