「〜てほしい」誰に、どんなことをしてほしい?
今日はクリスマスイブ。私たちの学校は欧米の学習者が多いので、クリスマス・ショッピングが大変だ〜なんて声をよく聞きます。
我が家はというと、、、サンタクロースに「あたらしいMacBook Airがほしい」というお願いのお手紙を書いている娘を見て、私はぞっとしました。彼女の手元にMacBook Air届くことは100%ないでしょう。
サンタクロースがいないということをいい加減、わかってほしい。いや、わかっていないフリをするのをやめてほしい・・・。
「ほしい」は「Nがほしい」で初級前半で習います。今回は初級後半で出てくる「Vてほしい」について考えてみたいと思います。皆さんは、誰に、どんなことをしてほしいですか?
「Vてほしい」
「Vてほしい」は話し手が他者に望む願望を表します。つまり、相手に何かしてほしいときに使います。その行動をするのは相手です。まずは、いつもの通り、場面を考え、例文を集めてみました。
ティーンエージャーの子どもから親へ
- Nintendo Switch の見守りを解除してほしい。
- wi-fiを11時で切らないでほしい。
- いないときに部屋に入って、掃除しないでほしい。
- 勝手にスマホを見ないでほしい。
- 私と弟を比べないでほしい。(ごもっとも・・・)
親から子へ・・・
- もう少し勉強してほしい。
- 使ったものは片付けてほしい。
- うちのことを手伝ってほしい。
- 約束は守ってほしい。
- うそをつかないでほしい。
親子の葛藤が見られますね〜。ほかにもこんな場面があります。
デートで(「こんな彼女は嫌だ」編)
- 今度の連休、スキーに連れて行ってほしいな。
- 新しいゴーグルを買ってほしいんだけど。
- 渋滞しちゃうから、朝5時に迎えにきてほしいの。
- 私の話をもっと聞いてほしい。
- 私を信じてほしい。(なんて言われると、逆にあやしい・・・)
ほかにも、学校や会社への要望、国や政府への要望などでも言えそうですね。
機能と使用場面はわかりました。あー、それにしても「〜てほしい」「〜ないでほしい」と相手に求めてばかりだと、なんだか不幸になりそう・・・。テキストなどでパターンプラクティスをしていると、そんな気持ちになってくるのは私だけでしょうか。
どうして、「〜てほしい」をたくさん使うとこういう気持ちになってしまうのでしょう。
「〜てほしい」の主語は「私」です(通常「私は」を省略します)。「〜てほしい」は話し手(私)の他者への願望を表すため、このように例文をたくさんあげると、私の欲求のオンパレードとなり、聞いているほうは “Enough! That’s too much!”でうんざりした気分になるのでしょうね。ということで、レッスンの際は、ぜひ面白おかしく練習してください。
他にも、こんな例もあります。
- この映画、面白かったよ〜。絶対見てほしい。
- あのレストラン、行ってみてほしい。
- このチョコ、一回食べてほしい。
- 最近、この曲にはまってるの。ぜひ聞いてみてほしい。
これらは、よく言えばオススメ。悪く言えば押し付けと言えるでしょうか。
助詞をチェック
「Nがほしい」は目的語に「が」をとりますが、上の例文を見ると、「~てほしい」「~ないでほしい」は通常「を」をとります。(上の例文にはとりたての「は」もあります)ただ、次のような場合は「が」をとります。
- 毎日、うるさいな。早く工事が終わってほしいっ!
- うちの近くにコンビニがなくて不便。この町にコンビニが来てほしい。
- あー、つらい。早く風邪が治ってほしい。
- お金がないっ!早く給料日が来てほしい。
「~てほしい」と「~てほしいんですが・・・」
「~てほしい」と「~てほしいんですが」は、ほぼ同じなのに使用可能範囲が違います。学習者が手伝ってほしい相手に、直接「手伝ってほしいです」「見てほしいです」と使ってしまうと、場合によっては、相手によっては、少し失礼になってしまうので気をつけなければいけません。
これは「Nがほしい」の場合もそうですね。相手が目上の人やあまり親しくない人である場合、失礼となりますので、使えません。
✖️お客様はどんなセーターがほしいですか。
○お客様はどんなセーターをお探しですか。
「~てほしいんですが…」は他者への依頼を表すことができますが、やはり「ほしい」がはいっていることで、「やって」「見て」というように私の願望・要望を押し付けている感じがでてきます。丁寧なようで配慮に欠けているような・・・。とくに目上の人やあまり親しくない相手に依頼する場合は、より丁寧な形「~ていただきたいんですが… 」を使うといいですね。
自分の願望や要望を伝えるのに便利な「ほしい」、サバイバル&初級レベルを脱したら、誰にどんなことをしてほしい時に使うのか、考えながら使ってほしいものです。そのためにはどんな場面のどんな例文が相応しいのか、ここを日本語教師は考えてほしいなと思います。
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