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「大きい」と「大きな」の違いって?
「大きい」と「大きな」違い① 品詞
「大きい」は形容詞・・・「大きい家」「大きい」「大きくなる」「大きかった」
*形容詞なので上の例のように活用します。
「大きな」は連体詞・・・「大きな家」「大きな衝撃を受けた」
*活用のない自立語で名詞の前にのみつきます。
ちなみに、国語文法でいう連体詞には「この」「あらゆる」「大きな」「いろんな」「おかしな」などがあります。
「大きい」と「大きな」違い② 具象的vs抽象的な名詞とともに使用する
大きい・・・具象的な名詞とともに(目に見えるもの)
<例>「大きい家」「大きいリンゴ」「大きい公園」「大きい手」「大きい画面」
大きな・・・抽象的な名詞とともに(目に見えないもの)
<例>「大きな問題」「大きなお世話」「大きな責任」「大きな違い」「大きな成功」「大きな存在」
※抽象的な事柄を表す名詞にかかるときは、「大きい」よりも「大きな」を使うことが多いです。「大きい」を抽象的なものに使えないということではありませんが、「大きな」の方がよりフィットするということですね。
「大きい」と「大きな」違い③ 客観的vs主観的
「大きい顔」vs「大きな顔」「大きい声」vs「大きな声」
<例>
「大きい顔」・・・誰が見ても顔の大きさが大きい(客観的・物理的な大小)
「大した仕事もしていないのに、大きな顔をしている」・・・態度が大きい、威張っている(主観的・心理的な判断を表す慣用表現)
<例>
「大きい声で話す」・・・声のボリュームが大きい(客観的・物理的な大小)
「あんまり大きな声では言えないけど、」・・・比喩的な表現
まとめ
まず、大きな違いは品詞です。そして、意味の上では一般的には上記のような違いがあります。ただ、「大きな声で話さないで!」と言っても不自然ではありません。「大きい」から「大きな」に置き換えても違和感を感じることは少ないようです。でも、「大きいお世話だよ」とは言いません。「大きな」を「大きい」に置き換えた場合は違和感がある場合があります。
実際にどんな使われ方をしているかもう少し見てみましょう。
『みんなの日本語Ⅱ』の38課には
「私が生まれたのは九州の小さな町です。」という一文があります。
うーん、これは学習者にどのように説明したら良いのでしょう。「ほんと、すごーく小さいんです」という書き手の心理的な判断が含まれているかもしれませんが、「小さな」でも「小さい」でも違和感はありませんから、意味の上ではどちらでもいいのでしょう。
こちらもそうですね。
童謡:おーきなくりのーきのしたでー♪ おーきなのっぽの古時計〜♪
うーん、これも違い②③には該当しませんね・・・意味の差もほとんど感じられません。これも、あえて言うなら「大きな」の方にはすごいなあ!うわー雄大だなあ!!という感情が含まれているのかもしれません。
何気なく使っている「大きい」と「大きな」。このようにテキストにサラーっと出てきたり、歌に登場したり、会話の中で出てきたりすると、学習者は「なんだ、これ???」引っかかりますよね。「小さな」「大きな」はい形容詞でもな形容詞でもありませんから困ってしまいます・・・。とりあえず、意味は同じだけど、特別な形で『「小さな」「大きな」+名詞』なんですよと伝えると良いですね。
その他、「―い」「―な」の単語の例にはこんなものがあります。ご参考までに。
「小さい/小さな」、「おかしい/おかしな」「あたたかい/あたたかな」「細かい/細かな」、「柔らかい/柔らかな」など
「今、大きなお金しか持っていないんだよね。この自動販売機じゃ使えないね〜。」
色々な例文をあげてみるとなかなか興味深いです。ご自身でも「―い」「―な」+名詞でイメージの違いを考察してみてください。面白い発見があるかもしれません。
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