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日本語教師の先輩体験談~オーストラリアで日本語を教える~
今日お話をうかがったNさんは、オーストラリアで日本語教師をして、一度帰国しているときにコトハジメ編集部と縁を持ち、今もまたオーストラリアにいらっしゃる現役教師です。
オーストラリアに行ったきっかけ
大学時代の教授に、オーストラリアの小中高校での日本語教師アシスタントのポジションを募集しているという求人を紹介していただいたことがきっかけでした。もともと、いろいろな日本語教育の現場で仕事がしたいと思っていたこともありましたが、なかなかこんなチャンスはないと思い、二つ返事で求人に応募することを決めました。オーストラリアが比較的治安がよく安全な国だったことや、日本との時差も少なかったこと、英語圏の国であったことも決め手になりました。
オーストラリアで日本語教師になる準備
私は養成講座を受講しておらず、大学での副専攻と日本語教育能力検定試験に合格していただけで、日本語教師としての職務経験はゼロだったのですが、大学の教授に一通り「みんなの日本語 初級」の教え方を徹底して指導していただいたり、勉強会に参加して模擬授業をしたりしていました。英語力については、留学経験等もあって日常生活程度だったら可能だったのでそこまで何も準備していなかったのですが、英語で文法説明などが書かれている教科書等を読んでおいてもよかったなと思います。
また、採用していただいた学校から、何か日本文化に触れられるものやレアリアを持ってきてほしいと言われていたので、授業で使えそうなものをいくつか準備しました。
オーストラリアの日本語レッスン
私はオーストラリアに滞在していた2年間の中で、小中高校と民間の日本語学校と2つの機関で勤務しました。小中高校は、教科書を含め間接法で行われました。小学生のクラスは、楽しく日本語に触れてもらう程度で、文化活動などが多かったですが、高学年クラスは、大学受験科目として、漢字を含めた4技能を総合的に指導し、受験に合格するためのレッスンを行いました。日本語アシスタントの業務は会話練習や作文や宿題、テストの添削や文化活動の企画準備等多岐に渡りました。勤務時間は朝8時半ぐらいから3時半ぐらいでした。
一方、民間の日本語学校は趣味で日本語を学ぶ学生が多いため、とにかく「楽しく勉強を続けてもらうこと」に主眼が置かれていました。漢字の指導はなく、アクティビティを多く取り入れたスピーキング重視の授業が行われていました。平日夜や週末にレッスンが集中することが多かったです。
オーストラリアの日本語教師の待遇
小中高校で日本語アシスタントをしていた際は、月1600ドル(日本円で12万ほど)でしたが、宿舎と食事が無料提供で生活に困ることはありませんでした。ただ、スクールホリデー中は無給でした。
民間の日本語学校ではコマ給制で、1コマ15ドル~20ドル(日本円で1200円~1500円ほど)でした。宿舎の提供はなく、もちろん食事も自己負担です。民間の日本語学校ではフルタイムとして雇用されることはほとんどなく、パートタイム雇用で、また、始めはあまり授業を担当させてもらえないため、生活が苦しくなることもありました。勤務当初は月10万円もないほどのときもありましたが、勤務半年後くらいからは月20万円ほどになるときもありました。
オーストラリアで日本語教師をしてよかったこと
小中高校では、とにかく子どもたちが可愛かったです。日本に行ったことがなくても日本が好きで、熱心に勉強する姿に関心させられることもありました。また1年を通して生徒の成長が見られ、特に高校生たちとは受験に向けて二人三脚で勉強していたことがとても思い出に残っています。
民間の日本語学校では大人の学生がほとんどでしたが、みなさんとてもフレンドリーでいつも楽しい雰囲気で授業ができました。授業のあとで、みんなで日本のレストランに行ったり、日本文化のイベントに出かけることもよくありました。また、授業の教え方や練習等はすべて任されており、自分でアクティビティを考えたり、教材を作ったりしたことも日本語教師として成長できたという点でよかったと思っています。
オーストラリアで日本語教師をして大変だったこと
小中高校では日本語教師としての知識や教授法より、生徒たちをまとめることのほうが大変でした。アシスタントとはいえ、生徒たちに指示を出したり、時には叱ったりすることが必要な場面もあり、英語力に悩んだこともありました。
民間の日本語学校では、共有教材やカリキュラムなどがあまり用意されておらず、授業準備がとにかく大変でした。また、趣味で学んでいる学生が多い分、授業がちょっとでも楽しくなければ、それがそのまま継続率につながり、そのことがプレッシャーになることもありました。
オーストラリアで働くことを検討している方へ
自然豊かで治安もよく、日本からも比較的近いオーストラリア。様々な国からの移民が多い多国籍国家で、フレンドリーでおおらかな気質な人が多く、とても住みやすい国だと思います。
移住して長期的に働きたい人にとっても狭き門ですが、海外で日本語教師として経験を積みたい、数年働いてみたいという人にとっては、特に英語圏の国でこれほど日本語教育の機会が開かれている国はそう多くないと思います。
オーストラリアで働くための様々な選択肢の中から、自分が教えてみたい対象、環境やビザ、待遇面、英語力を考慮してベストな選択肢を探ってみてください。
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