日本語文法の基礎 Ⅱ.助詞

日本語文法の基礎 Ⅱ. 助詞

助詞(particle)はその名詞が文の中でどんな役割を果たしているのかを示す重要なものです。助詞は、英語の前置詞(in/at)のようなものです。下記のように、英語では前置ですが、日本語では後置されます。

We had a dinner in his room.

彼の部屋晩ごはんを食べました。

I wake up at 6:00 every morning.

毎朝6時に 起きます。

 

英語では、

I gave her my dog. ≠ I gave my dog to her.

と、語順を変えるとまったく意味が異なるように「語順」は大切な要素です。

しかし、日本語では

私は 彼女に 犬を あげた = 私は 犬を 彼女に あげた

と語順を変えても、意味は変わりません。大事なのは、助詞とその前にくる名詞(句・節)のかたまり「私+は」「私の犬+を」「彼女+に」であり、助詞を間違えなければ語順が多少変わっても文全体の意味は変わらないのです。

『「名詞+助詞」がいくつか並んで、最後に動詞がくる』というのが、日本語の文の基本的な仕組みです。「助詞」それ自体は意味がありませんが、文の成立に大事な役割を果たします。

ちなみに、名詞は漢字で書くことが多いのですが、助詞は必ずひらがなで書きます。漢字の後のひらがなが大事な文法的情報をあらわすと学習者に伝えると良いでしょう。

 

助詞の種類

1.格助詞(case particle)

主に名詞について、その名詞と他の語との意味関係を示す

「が」「を」「に」「で」「と」「へ」「から」「より」「まで」の9つ

2.並列助詞

名詞と名詞の並列を表す

「と」「や」「か」「とか」「やら」「なり」「だの」など

3.取り立て助詞

文中の​いろいろな語に付いて、ほかの事柄より取り立てて述べる際に使う

「は」「も」「なら」「さえ」「すら」「だけ」「しか」「のみ」「こそ」など

4.接続助詞

節と節をつなぐ役割をする

順接条件の「と」「なら」、逆説の「が」「けれども」「のに」、原因・理由の「から」「ので」「ため」、並列の「たり」「し」など

5.終助詞

主に文末について話しての見方や気持ちを表す

疑問・勧誘の「か」「かな」、禁止の「な」、詠嘆の「わ」「なあ」など

6. 終助詞(sentence-final particle)

主に文末について話し手の見方や気持ちを表す

「よ」「ね」など

 

代表的な「助詞」の種類と機能

助詞「は」

①主語                 例)私はタイ人です。これは500円です。

②トピック           例)きのうは居酒屋に行きました。夏休みは何をしましたか。

③対比                 例)寿司は好きですが、さしみは嫌いです。

助詞「を」

対象(object)               例)新聞を読みます。コーヒーを飲みます。

通過点(passing point)         例)海を渡った。三つ目の角を曲がる。

助詞「に」

①対象(object)      例)友達に会います。父にネクタイをあげます。

②移動の目的地     例)中国に行きます。日本に来ます。うちに帰ります。

③時間                 例)7時に会います。11時に寝ます。

④所在の場所        例)居間にテレビがあります。うちに猫がいます。

助詞「で」

①動作の場所        例)レストランで晩ごはんを食べます。公園で遊びます。

②手段・方法        例)バスで行きます。はしで食べます。ハサミで切ります。

③選択(option)      例)(「パンとライスどちらになさいますか」という問いに対し)パンでお願いします。

④材料(material)  例)木で作った家

⑤理由(reason)    例)風邪で学校を休む。

助詞「の」

名詞句をつくる(⑤以外)

所有            例)私の車

所属            例)トヨタの社員

属性(種類・性質) 例)日本語の先生、シルクのハンカチ

同格            例)友達の洋子さん、夫のトム

代名詞             例)赤いの、熱いの

助詞「と」

動作を一緒にする相手       例)友達と映画を見ました。えりさんと結婚しました。

助詞「が」

*「が」は他の助詞と機能が重複し、混乱しやすいので、①~⑤の“文型”として覚えるといいでしょう。

①疑問詞を使った疑問文の主語 例)だれが来ますか。いつがいいですか。

②存在/所有文の主語       例)うちにパソコンがあります。トイレに猫がいます。

③名詞修飾節内の主語              例)これはベートーベンが作った曲です。

④対象

~が好き・嫌い・上手・下手

例)サッカーが好きですが、下手です。

~がわかる・できる・見える・聞こえる

例)ここから富士山を見ることができますが、今日は見えませんね。

~がほしい、したい

例)日本人の友達がほしいです。日本語が勉強したいです。

⑤形容詞文において説明(形容)したい“部分”

例)妹は髪が長い。日本は犯罪が少ない。

 

>>>学習者によく聞かれる質問に「は」と「が」の使い分け、助詞の省略があります。詳しくはブログ記事をご覧ください!  「は」と「が」の使い分け / 助詞の省略

 

 

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