誤用

た形は「過去形」?

た形は「過去形」? 学習者から「先生、た形は過去形ですか?」と聞かれたとき、どのように答えるべきでしょうか。 答えは 「(条件付きで)はい」 です。では、その条件とは…、カジュアルな文体で、過去の動作・行動・状態を述べる場合 だということが言えるでしょう。 例)A:週末、何した?B:特に何もしなかったよ。ずっと家にいた。Aさんは?A:私は友だちに会って、ごはん食べたよ。 このように「た形」は時制と...

実は難易度が高い:初級文法「~たり、~たり」

実は難易度が高い:初級文法「~たり、~たり」 はじめに 「たり、たり」は日本語では日常的に使用頻度の高い文型の一つです。 例) ①休みの日は、たいていジムに行ったり、散歩したり、のんびりすごすことが多い。 ② A:日本のお正月って何するの? B:おせちを食べたり、近くの神社に初詣に行ったり、テレビをみたり…かなあ。 ③今日は子どもの行事で学校とうちを行ったり来たり忙しかった。 上記の例文にもあるよ...

【接続詞】「また」と「さらに」は、どう違う?

【接続詞】「また」と「さらに」は、どう違う? みなさんにとって教えるのが難しいと感じる文法事項には、何がありますか。私の筆頭は、接続詞。これは、教えるのも、学ぶのも難しいと感じています。接続詞はどの言語にもあり、もちろんそれぞれに訳語を与えることはできますが、それをそのまま適用して、うまく使いこなせているという事例を、私はあまり見たことがありません。 そこで、今日はどうやったら接続詞をうまく教えら...

文型導入時によく聞かれる質問:「意向形+ と 思っています」の場合

文型導入時によく聞かれる質問:「意向形+ と 思っています」の場合 はじめに 「意向形+ と 思っています」を導入した際、よく聞かれる質問があります。それは、 「行こうと思っています」と「行くと思います」の違いは何ですか? というものです。 みなさんなら何と答えるでしょうか。 この違いを説明するには、いくつか整理すべき文法ポイントがあり、すぐに答えるのが難しい質問です。が、学習者は、初級後半(N4...

誤用訂正のコツ:語彙編

誤用訂正のコツ:語彙編 まずは以下の会話文をご覧ください。 <場面> 会社で、ある商品のコピー(宣伝文句)について、アイデアを求められた。 Aさん→中級日本語学習者 Bさん→日本人 ※AさんとBさんは同僚である。 A:Bさん、なにかいいコピー思いつきませんか。文字数このぐらいで。 B:う~ん、そうだなあ。✕✕✕ってのはどうでしょう? A:なるほど。いいですね、それ活用します!   上記の...

だけ=onlyと考えるのは危険です、という話 :日本語教師として知っておくべきことについて

だけ=onlyと考えるのは危険です、という話:日本語教師として知っておくべきこと 日本語学習者が「だけ」=onlyと認識すると、誤用(日本語としては不自然な表現)や非文がたくさん生まれます。(例:「兄弟はいません、私だけ。」「このシャツ、すごく安かった。1000円だけ。」「昨日は暑くて寝られなかった。3時間だけ寝た」)これはどうしてなのでしょうか。日本語の「だけ」と英語のonlyが網羅する意味の範...

日本語中級文法:「とおりに」と「ように」はどう違う?

「とおりに」と「ように」はどう違う? 言い換えられないこともある 先日、実家の片づけをしていたら、小学校六年生のときの通信簿を見つけました。その中の通信欄に、 「素直ではあるが、教師の言う通りにしかしません。」(意訳) と、担任からうちの親宛てのメッセージが?! よほど私は先生に従順な「いい子」だったのでしょうか。いやいや、これはぜんぜん誉め言葉ではない…自分で考える力や、想像力の欠如、従順さの持...

日本語文法:強調構文をどう教えるか。

強調構文をどう教えるか。   ①私が生まれたのは中国です。 ②私は中国で生まれました。 文型でいうと、①は強調構文、②は平叙文ですが、どちらの文からも伝わる情報は、話者が「中国生まれ」だということ、その点では同じです。 ではなぜ①のような言い方をするのか。それは強調構文がいわゆるレトリック(倒置、反復、比喩というような修辞的なもの)の一つであり、別に使わなくてもいいが、使うとより印象的に...

スポット講師向け勉強会レポート クラスで英語をどう使うか?

スポット講師向け勉強会レポート クラスで英語をどう使うか? 3回目の合同勉強会テーマは「媒介語をどう使う?」 本年より月に1回スポット講師(※)向けの勉強会を開催しており、先日3回目の勉強会が終わりました。 ※スポット講師とは 業務委託講師として、主に企業派遣レッスン(対面またはオンライン)、Cotoでの短期レッスン(キッズコースやプロジェクトなど)を担当 この勉強会は、Cotoで定期的に開催して...