日本語教師が知っておきたい基礎知識

活用形を教える あなたはどっち派?「辞書形」VS「ます形」

活用形を教える  あなたはどっち派?「辞書形」VS「ます形」 「辞書形」の『GENKI』VS「ます形」の『みん日』 今回のテーマは「辞書形」と「ます形」での活用形導入についてです。後半は、コトハジメ編集部のライター二人(Hidari先輩&Matsubara)の対談形式でお届けします。 「辞書形」での活用形の代表的なテキストとして『GENKI』、「ます形」で活用するテキストの代表格として『みんなの日...

「だいじょうぶです」は、どう大丈夫なのか。

「だいじょうぶです」は、どう大丈夫なのか。 店員さん:袋は? お客さん:だいじょうぶです。 店員さん:ポイントカードは? お客さん:だいじょうぶです。 店員さん:〇〇や〇〇のカードはお持ちじゃないですか? お客さん:だいじょうぶです。 昨今、スーパーやドラッグストア、コンビニなどにおいては、以上のような簡略的ともいえるやりとりが日常的になされています。 この会話の中の「だいじょうぶです」は、すべて...

だけ=onlyと考えるのは危険です、という話 :日本語教師として知っておくべきことについて

だけ=onlyと考えるのは危険です、という話:日本語教師として知っておくべきこと 日本語学習者が「だけ」=onlyと認識すると、誤用(日本語としては不自然な表現)や非文がたくさん生まれます。(例:「兄弟はいません、私だけ。」「このシャツ、すごく安かった。1000円だけ。」「昨日は暑くて寝られなかった。3時間だけ寝た」)これはどうしてなのでしょうか。日本語の「だけ」と英語のonlyが網羅する意味の範...

限定条件の「なら」は教えるのが難しい?

限定条件の「なら」は教えるのが難しい? 条件節の「なら」には、いくつかの機能がありますが(リンクを見る)、とりわけ限定条件の「なら」は、講師にとっては教えるのが難しく、学生にとっては理解がしにくい、ということが多いように思われます。 それはなぜでしょうか。理由には、大きく以下二つが考えらえると思います。 ①「なら」に含まれるニュアンス(態) 「なら」には限られた選択肢を提供するという意味で、hum...

“普通”を疑え!Cotoで日本語を教える難しさ【無意識バイアスのお話】

“普通”を疑え!Cotoで日本語を教える難しさ【無意識バイアスのお話】 思い込みってコワイ… 「IT企業だから、普通に考えて社員さんはパソコン操作は大丈夫でしょ」 「大企業だし、新入社員の教育システムはしっかりと構築されているはず」 「管理職ってことは、普通なら部下の話を聞くことには慣れているだろう」 …これらは私が仕事で訪問した企業に対して勝手に思い込んでいたことです。現実は全然違い、訪問先で焦...

「~たところ」「~ たばかり」の違いを探ってみると…

「~たところ」「~たばかり」 「みんなの日本語」では、「~たところ」と「~たばかり」という行為直後を表す表現を同時に学びます(46課)。みなさんもご存じの通り、「~たところ」は誰もが絶対的に持つ時間の短さについて言及したもので、「(赤ん坊が)生まれたところ」と言えば、聞き手はいままさにこの世に誕生した、生まれたてほやほやの赤ちゃんを想像するでしょう。対して「子どもが生まれたばかり」と言えば、いっし...

日本語クラスでの生教材の扱い方:アニメやマンガを使うメリット&リスク

アニメやマンガを日本語の授業で使うメリット&リスクとは? 学生のモチベーションUPのためにアニメを授業で使いたいが… 先日、コトハジメ編集部にこのようなご質問が届きました。 ご質問(要約) モチベーションに関する記事(モチベーションは上げるな⁉ ~日本語学習者のドロップアウトを防ぐために~【後編】)を読んで、メールしてみようと思いました。   わたしは現在、海外の公立学校で...

日本語レッスンのタイムマネジメント:時間が余る問題についての考察

時間が余る問題 授業のタイムマネジメントについてのお悩みは、以下はっきりと二つに分かれます。 ①時間が足りない 準備していた内容が消化できないまま、時間切れになってしまう。消化不良感が残りやすい。 ②時間が余る 十分に準備したつもりでも、時間が余ってしまう。時間が余りそうと気づいたときの焦りや恐怖たるや…。 みなさんはどちらのタイプでしょうか。私は圧倒的に②。とりわけ日本語教師の駆け出しのときは、...

「なんで分かってくれないの!」そんな時どうしてる?自分のコミュニケーションの傾向を知ろう【②解説編】

「なんで分かってくれないの!」そんな時どうしてる?自分のコミュニケーションの傾向を知ろう【②解説編】   前回、日本語教師は他者を理解するために、まずは自己を知ることが大切だということで、コミュニケーションにおける自分の傾向や思考の癖に気づくためのセルフチェックをご紹介しました。 セルフチェックがまだの方は前回の記事(「なんで分かってくれないの!」そんな時どうしてる?自分のコミュニケーシ...