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日本語教師こそ、HPとMPの“残量チェック”を
MP残量、大丈夫ですか?
皆さんは、ロールプレイングゲーム(RPG)をやったことがありますか?
プレイヤーは主人公となり、旅をしながら仲間と一緒にモンスターと戦います。
そして画面の隅には、おなじみの2つのゲージが表示されます。
HP(体力)とMP(精神力)。
日本語教師としての毎日も、RPGのようなものだと感じます。
HP(体力)は、睡眠・食事・運動などの肉体的なエネルギー。
MP(精神力)は、人の話を聴く力や、気づかい、創造性などの心のエネルギー。
ゲームをするときは、これらが0%にならないか常に注意して見ています。しかし、現実ではどうでしょうか。自分のHPとMPをちゃんと見ることを忘れがちではないでしょうか。
私たちの仕事は、特にMP=感情(精神力)の部分が大きいです。相手の心の状態に寄り添い、他者に対して適切な感情を演出するために、自身の感情を管理し、表現することが求められます。
このMPは、スマホの充電に似ています。
「まだいける!」「あとちょっと頑張れば…」「休んでいる暇がない!」と、残量を無視してスマホを使い続けると、ある日突然0(ゼロ)になっている。そして、0%になってからでは、再起動までに時間がかかる…というわけです。
立ち止まって残量をチェックしてみよう
以前、つい頑張りすぎてしまう方向けに、このような記事を書きました。
日本語教師が病まないために:日本語教師のメンタルヘルスを考える
この記事の中で、燃え尽きやすい(=MPが減りやすい)状態になっていないか、チェックする項目を記載しています。よかったらセルフチェックしてみてください。
という私も、恥ずかしながら、毎年のように年末年始に体調を崩していました。
ずっと気を張って頑張り続ける(この時点では頑張っていることに気づいていない)→短い休みに入る→フっと力が抜ける→バタっと倒れて動けなくなる(そこで初めて、自分の残量がゼロになっていたことに気づく)。このパターンです。
このパターンに気づいてからは、「フっと力が抜ける日がなければ、バタっと倒れることもなくなるはず!」と、休まずに仕事や勉強などの予定を入れてきました。
もともと仕事が趣味みたいな人間なので、苦痛ではなく、好きでやっていることです。おかげで、バタッと倒れることはなくなりました。
でも、今年の年末年始は少し仕事や勉強をセーブして、徐行運転で進もうかなと思っています。全力でもなく、しっかり休むのでもなく、セーブする作戦です。
というのは、自分が書いた記事を読み返しながら、自分自身に燃え尽きる兆候が出ていることに気づいたからです。
個人的には、今年は心が疲弊することが次から次へと起こった1年でした。このまま走り続けると燃え尽きる=MPゼロ→再起動まで時間がかかるルート、になる予感がします。。
ともあれ、年末年始は自分自身を振り返る機会が増える時期かと思います。この機会に一度立ち止まって、ご自身のMP残量がどのくらいあるのかチェックしてみませんか?
MPの充電方法
さて、「MP残量チェック」が終わったら、次は「回復」です。
私にMP回復法をお伝えする資格があるのか?…と考えると心苦しいのですが、私自身はMPが切れやすく、精神的に疲れやすい人間なので、いろいろと回復法を学んで、試行錯誤してきました。残念ながら、ゲームのようにアイテム一つでMP全回復!…というわけにはいきませんが、おすすめなものをご紹介したいと思います。
①小さい習慣でこまめに充電
繰り返しにはなりますが、MPはスマホの充電に似ています。0%になってからでは、再起動までに時間がかかります。
以下のような日常のこまかな充電は、意外と大事です。
- 5分だけ外に出て深呼吸する
- 小さな「できた」「ハッピー」を書き留める
- 寝る前に短時間ヨガをする
- 素敵な文章表現に出会ったら、スマホメモに記録する
- 好きな香りの入浴剤を日替わりで使っていく
- スマホにブロックアプリを入れて、デジタルデトックスの時間を作る
多くの時間はとれない方もいらっしゃると思いますが、このような小さな習慣だけでも、MPゲージはゆっくり回復していきます。
最近私は、お紅茶のおいしさに目覚めてしまいました。おしゃれ茶器なんかを買ってみたりして、ハマりつつあります。気分はお嬢様です。環境音楽を流して、香り豊かな紅茶を楽しみながら、英単語を覚えたり、マネーの勉強をする…という新たな習慣ができ、この時間はMP回復に役立っています。
②HP(体のエネルギー)を回復させる
ゲームですと、HPとMPは完全に別のものですが、生身の私たちにとってHPとMPは密接に関連しています。体はボロボロでも心は元気!…とはなりませんよね。
こちらの記事にも、自分の感情がコントロールできない状態なら、まずは体を労わることが大切だと書きました。
日本語教師のアンガーマネジメント ~「言い過ぎた…」を防ぐために~
大好物をモリモリ食べて、ポカポカのお風呂で疲れを癒し、フワフワのお布団でゆっくり寝て、まずは体の疲れを回復させましょう。
③サードプレイスを作る
私はある英語学習のグループに属しており、週に何度かネット上で集まっています。ふらっと行くと、そこには必ず誰かがいて、英単語のクイズを出し合ったり、英語でディスカッションしたり、ミュートにしてそれぞれの勉強をしていたりします。
メンバーがたくさんいるのですべての人を知っているわけではありませんが、顔なじみの方も増え、語学という共通の話題もあり、雑談も楽しいです。
ただ、ふと考えると、多くの方の名前しか知りません。どんなお仕事をしているのかも、どんな生活をしているのかも分からない。
それでも不思議と、「ここに来ると落ち着く」「ポジティブな気分になれる」と感じます。失敗しちゃいけないという緊張感もなければ、必要以上にプライベートに踏み込まれる心配もない「居心地の良さ」があるのです。
同じ空間で、同じ目的に向き合う。
それだけで通じ合える感覚がある。
家庭でも職場でもなく、役割から少し離れていられる場所。
何の利害関係もない、程よい距離感の関係。
心の温度が少し戻るような、そんな場が「サードプレイス」です。
静かにひと息つける場所でも、誰かと自然に言葉を交わせる場所でも、形はどんなものでも構いません。
皆さんには、心の温度が少し戻るような、そんなサードプレイスはありますか?
教師の「しんどい」は学生たちにも影響を及ぼす
私たち日本語教師が行っている日本語教育とその支援は、「人を支える冒険」です。
でも、主人公はいつも私たち自身です。
そして、その道のりは長い。大草原もあれば、未来都市のような大都会もある。天空の楽園もあれば、アイテムがいくらあっても足りない地下ダンジョンもあります。
日本語教育の現場も、ロールプレイングゲームのように一筋縄ではいきません。
その道のりの中で、教師がしんどさを覚えたり、追い込まれたりすることは一度や二度ではないはずです。それに、教師だって人間。プライベートでもいろいろあります。
この時の「しんどさ」や「力み」が学生に伝わってしまうことは、こちらの記事にも記載しました。
Coto全体会報告レポート① 発達障害者支援の現場から学ぶ日本語教育
どうか今日も、自分のHPとMPをチェックしながら、無理なく進んでいきましょう。







