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例文トレ#13 本日のお題「揃える・揃う」
今月のMs. Hidari’s Eye、例文トレーニングのお題は「揃える」「揃う」です。
先日、『中級へ行こう』で第7課の練習問題に「資料を揃える」ということばが出てきました。このクラスでは初出だったなと思い新たに導入することに。例文を出していくうちに、あらら、いろんな意味があるじゃない・・・と。これは一旦整理したほうがよさそうだと思いましたので、みんなで考える機会をばと、Ms. Hidariにリクエストしてみました。
それではMs. Hidariの考察、一緒に見ていきましょう!
① 同じ
意味:(量・質・長さ・重さなどの属性を)同じにする/なる、一致する/させる
<例>
- お揃いのくつ(Tシャツ、マグカップetc)
カップルでペアルックをしたり、学校の文化祭や体育祭などではチームTシャツを作ったり、母親に姉妹でお揃いの服を着せられていたなんていう人もいるのでは?お揃いだと一体感が出たり、テンションが上がったり(!?)するのでしょうね。
- 文頭(フォント・端)を揃える
パソコンなどで文章を書いたりするとき、見やすくするために、ばらばらのものを同じ位置にしますね。
「端をそろえる」、折り紙などでは角をぴったり合わせないときれいな形のものが完成しません。
- 前髪を揃える
視覚的にきれいに見えるように、きちんと整った状態にする。
『GENKI』の17課のコラムにも美容院の場面で、「うしろを揃えてください」という文がありました。ちなみに、記載されていた英語訳は “Please cut the back all the same length.”で、直訳すると、「同じ長さに切ってください」といった感じになります。
- くつ(はし、足などペアになるもの)を揃える
証明写真や入学式などのクラス写真を撮る際に、「足を揃えて」「両手を揃えて」などカメラマンに指示されることがありますね。とくに、組(ペア)になっているものがバラバラだと見栄えが悪いのでしょう。
私には「くつを揃える」の意味が学習者にうまく伝わらなかった経験が何度かあります。
それは「揃える」の意味が伝わらなかったのではなく、「くつを揃える」という文化・習慣の意味が理解できない、言語外の問題によってだったのですが…。あるアメリカ人女性(ご主人は日本人)、「毎日、夫からくつを揃えろ、揃えろ、と口うるさく言われるけど、明日も履くのになんで揃える必要があるの?」と言われたときは、その新しく潔い言説に感動さえ覚えたものです。笑
もちろん、外国にはカレッジTシャツなどがありますし、インテリアなど統一感を重視している方も欧米には多いので、「同じである」ことに対する気持ち良さみたいなものは感じていると思います。ただ、「きれいに&きちんと」の感覚は国によっても違うのでしょう。日本には日本ならではの文化的・慣習的価値観や美意識というものもあります。そういうものに関しては、例文導入の際にはちょっとした説明が必要かもしれませんね。
② 集まる・集める
意味:集まる/集める(派生形:準備する、完璧・完全体にする/なる)
最初にあげた例文「会議の資料を揃えておいてください」とか、「最近、流行りのキャンプ。やってみたいけど、道具を揃えるのが大変そう」のようなケースです。また、レストランでは「以上でご注文はお揃いでしょうか」と必ず聞かれますね。
<例>
- みんな(家族・クラス・参加者・役者→比喩表現)が揃う
- 材料(道具・書類)を揃える
- 全巻揃う
- 注文したものが揃う
- 番号順に揃える
必要なものを集める。欠けているところがないようにする。こちらは、一般的に、英語への直訳が難しい(または、訳語が一つではない)ですね。
学習者に導入するときは、「はじめてキャンプをします」とか「うちでケーキを焼きたいです」という場面で、「どんな道具が必要ですか」などと聞き、必要なアイテムをどんどん挙げてもらうと良いです。そうすることで、「揃える」のニュアンスが媒介語がなくてもわかるはずです。
語彙は例文をたくさん出すことで理解させるというやり方が一つ(以前コトハジメで紹介した「工夫」のような語彙はそのほうがベター)、そして、もう一つは今回の「揃える・揃う」のように ①同じ、②集める と比較的平易な日本語で説明できそうなものは、大まかな意味を提示してから例文を出してみるというのもありです。
編集後記:オススメのサイト紹介
みなさん、国立国語研究所の『基本動詞ハンドブック』をご存知ですか。単語(動詞・形容詞)が実際にどのように使われているのかを調べたいとき、私は『なつめ』を使っているのですが、最近こちらを発見したのでシェアしますね。これを発見したときの感動といったらもう・・・。
この『基本動詞ハンドブック』は、190個の動詞の意味用法、例文、誤用例、コロケーション、活用などがまるっと調べられます。しかも、音声やイラストもついています。
自分で例文を出しつつ、こういったツールを利用すると、理解を深めることができます。とっても効率的です。レッスンの教案や文法説明しかり、あらゆる情報が簡単にタダで手に入る時代。こういったツールがあれば、ある程度のことは誰にでもできてしまうのかもしれません。自分に必要な情報を選別し、そのツールどう使い、何をどこまでどう学習者に提示するかは皆さんの裁量とセンス次第。今はそういったセンスを磨く時代なのかもしれませんね。
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