中級文法コラム22「としたら・とすれば・とすると」
A:1000万円持っているとしたら、何買う?
B:う~ん。1000万円持っているとしたら、ポルシェ買う。
A:ポルシェ1000万円じゃ買えないよ。
B:え… 1000万円じゃ買えないとすると、ポルシェが買えるのは本当にお金持ちなんだね。
A:まぁ、Bさんが買えるとすれば、整備不良の中古のポルシェじゃないかな。
あ~あ、1000万円、どこかに落ちてないかなぁ… あ、いえ、何でもないです。
「としたら」「とすれば」「とすると」はどれも仮定の表現ですね。
- 1000万円持っているとしたら…
- 1000万円持っているとすれば…
- 1000万円持っているとすると…
ここまでは、どれも変わりないように見えますが、後件をかんがえてみましょうか。
- 1000万円持っているとしたら、ポルシェが買いたい。 OK
- 1000万円持っているとすれば、ポルシェが買いたい。 ん? なんか違和感…
- 1000万円持っているとすると、ポルシェが買いたい。 う~ん。これは非文
「としたら」はOKだけど、他のは何だか違う気がしますね。
としたら
- 1か月休めるとしたら、何がしたい?
- 1か月休むとしたら、南の島でのんびりしたいなぁ。
- 山田さんが転職するとしたら、私たちの部署はどうなっちゃうんだろう。
- タイムマシンがあるとしたら、何時代に行こうかな。
現実的なことから、全く無理そうなことまで、いろいろな仮定で使えます。疑問文で使えたり、希望や想像などが後件にきたりしているようです。主節(後件)のムードが比較的自由ですね。
とすれば
- Bさんが買えるとすれば、整備不良の中古のポルシェじゃないかな。
- 夏休みに4日間で旅行するとすれば、沖縄か北海道ぐらいがいいと思います。
- 宇宙旅行に行くとすれば、数千万から数億円の費用が掛かるようですよ。まあ、行けないってことだよね。
- 山田さんが転職するとすれば、私たちの部署の戦力ダウンは必至だね。
確定した事柄を「条件」として設定し、考えられる結果が後件に来るようですね。
なので、「1000万円持っているとすれば、ポルシェが買いたい。」は、前件から考えられる結果ではなく、ただの希望なので「とすれば」に合わないようです。それでもって1000万円では実際足りなくて、「Bさんが買える」という条件内で仮定して、考えられる結果は中古ならなんとか買えるかな、ということになります。
他にも「夏休みの4日間」という条件、「今の時代に宇宙に行く」という条件などから論理的に考えてみても…うーん、というニュアンスがあります。
とすると
- 1000万円じゃ買えないとすると、ポルシェが買えるのは本当にお金持ちなんだね。
- 週末雨が降るとすると、花火大会はキャンセルだね。
- 宇宙旅行に行くとすると、数億円近い費用と、数か月の訓練が必要になります。
- 山田さんが転職するとすると、A社との関係が切れてしまいますね。早急に引継ぎしなければいけません。
前件の仮定から考えられる、また、話し手が当然と判断する結果が後件にきています。
1000万円で買えないと仮定すると、当然買えるのはお金持ちの人(と私は判断する)。
雨が降ると仮定すると、客観的に見ても当然花火は中止だよね。
「としたら・とすれば・とすると」まとめ
- としたら…現実的・非現実的問わず、多くの仮定で使える。後件は、疑問文や希望、創造などいろいろ。
- とすれば…前件の仮定を条件として、論理的に考えた結果。主観的な印象
- とすると…前件の仮定から考えられる当然の結果。客観的な印象
「そうだとしたら」「そうだとすれば」「そうだとすると」という言い方もできます。
もう少し
「たら・ば・と 」の違いを考えるのもいいかもしれません。
- お金があったら旅行する。
- 大きくなったらお姫様になりたい。
など、仮定に対しての希望や考えを言う時は「たら」を使いましたね。
- お金を払えば、入場できます。
- 18歳になれば、お酒を飲んでもいいです。
など、「ば」は後件を実現するための条件。
- ボタンを押すと、コーヒーがでます。
- ポイントを集めると、素敵なお皿がもらえます。
など、「と」は前件の行為に対する当然の結果。
前件文が「仮定」になったと考えると、わかりやすいかもしれませんね。これに「~とする」がプラスされると、条件の実現性をもう少し本気で考えている印象があります。 事柄や状況を仮に設定した上での判断だから本気度が上がってるように感じるのでしょうね。ということで、単純な「~と/ば」とは少しニュアンスが違ってきます。
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