「ように」と「ために」の使い分け

「ように」と「ために」の使い分け

先日、夫は海外出張のためにスーツケースを買ったのですが、機内持ち込みができるように 、少しでも空港から早く出られるように小さめのにしていました。それから、現地のオフィススタッフに渡すためにデパートでお菓子も買っていました。PCRを受けるために、出国の前日には病院に行っていました。海外出張ができるようになったとはいえ、コロナ禍での出張は大変ですね〜。

このように、ネイティブの日本人はなんの意識もせずにさら〜っと目的を表す「ように」と「ために」を使い分けています。でも、どちらも目的を表すのに、「ように」は「ために」に置き換えられないし、「ために」も「ように」に置き換えられない・・・。なかなか学習者泣かせの文法です。

そういえば、無意志動詞と意志動詞のコラムを書いたきっかけが、レッスンで行った「ように」と「ために」でした。そのせいかコラムを書いたつもりになっていましたが、書いていませんでしたね・・・。先生方からもときどき質問を受けるので、触れないわけにはいきません!

今回は「ように」と「ために」の使い分けを整理していきましょう。いつもながら例文の語彙はノーコントロールです。

 

「ように」

用法

V(無意志動詞)+ように、Vないように

 

ワンポイント

*「ように」は「状態を表す動詞」につくというのがポイントです。「ように」は「様に」と漢字で書けますね。この「様」は「様子」で、つまり「こういう状態になる」というのが目的なんですね。教える側はこの点をしっかりおえておきたいですね。

*「する→できる」「食べる→食べられる」と意志動詞は可能形になると「状態」を表す無意志動詞になります。

*「治る」「わかる」「間に合う」「見える」「聞こえる」のような可能の意味をもつ動詞も無意志動詞です。

*前件と後件の主語は同一人物とは限りません!たとえば、「無意志動詞+ように」の例文6、「ごはんを食べる」のは子ども、「作る」のはわたしです。

 

例文

▷無意志動詞+ように

  1. 花粉症が早く治るように、病院で薬をもらった。
  2. 締め切りに間に合うようにがんばります〜。
  3. みんながわかるように、簡単なことばで説明します。
  4. 明日は早朝レッスンがあるから早く起きられるように、今晩はもう寝ないと。
  5. JLPTに合格できるように、毎日3時間日本語の勉強をしています。
  6. 子どもたちが食べられるように、甘口のカレーも作っておこう。
  7. 日本語でアニメが見られるように、日本語を勉強しています。

▷Vない+ように

  1. 試験当日、忘れ物をしないように気をつけてくださいね。
  2. 遊泳禁止区域で泳がないように貼り紙をしている。
  3. うっかり日焼けでシミを作らないように気をつけましょう!
  4. 晩御飯はあまり食べすぎないように気を付けています。
  5. 子供が触らないように、ライターをしまっておきます。

 

 

「ために」

用法

V(意志動詞)+ために、Nのために

ワンポイント

前件は話し手の目的、後件は「その目的を実現・達成するぞ!よし、がんばるぞ!!」という話し手の意志を表す動詞がきます。というわけで、「ために」の文では前件も後件も主語は同一人物です。

 

例文

▷Nのために

  1. みなさんは、健康のためにどんなことをしていますか。
  2. 安全のために、シートベルトをお閉めください。
  3. 留学のためにやっておくべきことってなんですか。
  4. 感染防止のために「3つの密」を避けましょう。
  5. お酒が飲めない人のために、ジュースも用意してありますよ。
  6. なんのために、日本語を勉強しているんですか。(なんだか面接みたいですね…)

▷意志動詞+ために

  1. お菓子作りの勉強をするために、フランスの大学に留学します。
  2. 家を買うために、毎月貯金している。
  3. 夏にビキニを着るために、ダイエットしている。
  4. 子どもたちのお弁当を作るために、毎朝6時に起きている。
  5. 漢字を覚えるためにQuizletを使っています。
  6. アメリカで働くために、ビザを申請する。

 

さいごに

意志動詞・無意志動詞のときにも書きましたが、文法の使い分けは学習者に全てをきっちり教えると逆に混乱を招くことがあります。もちろん教師はいざというときのために理解しておいた方がいいですが、教えすぎにはくれぐれもご注意を!!

ちなみに、今回のコラムでは触れていませんが、否定の表現「~ないために」「~ないように」は実は両方使えることがあります。たとえば、「忘れないようにメモします」「忘れないためにメモします」など。でも、ニュアンスは少し異なりますね。

そして、「ように」の前件の主語と後件の主語が同一人物でない場合は意志動詞も使えます。たとえば、「子供がちゃんと勉強するように、(私は)大きい机を買いました」など。

こんなのもあります。「早くやせるように、ジョギングをがんばっている」は非文で、「早くやせられるように、ジョギングをがんばっている」が正解。それなら「やせるために」にすればいいんだろうけど・・・。そもそも「やせる」って「夏までに絶対やせる!」は意思動詞だけど、「最近ストレスでやせた」は無意思動詞だよね・・・みたいなことがおきます。

なーんてことをやっていると、ギャ〜😱、ずっぽり泥沼にはまってしまいます。教師もそうなのですから、学習者もそう感じるはず。意志・無意志の概念はできれば学習者にも知っておいてほしいですが、媒介語なしに説明は難しいのかもしれません。

というわけで、いろいろ例文を出して自分なりに考察した上で、この文型を理解するために絶対外せないポイントはコレだ!というのを探ってみてほしいと思います。

むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに』

井上ひさしさんのことばです。なかなか難しいですが、こういう日本語教師でありたいですね。

 

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