会話をホールドする「質問力」
先日、Coto Japanese Academy飯田橋のM先生をお招きし「グループレッスンを楽しくする工夫」と題した勉強会をMs.Hidari主催で行いました。本日はそのまとめです。
グループで語学を学ぶ中で感じる楽しさ=笑い声が絶えない、だけではありませんね。この「楽しさ」をブレイクダウンすると…
- チャレンジがある
- 何かを学んだという実感がある
- 疑問が晴れる
- クラスメートから刺激を受ける
つまり、ちょっと難しかったけど頑張れたと実感することを言うのではないでしょうか。その楽しさの実現には、もちろん授業内容の充実のほかに、講師側がクラス運営時にできる工夫があります。
今日はその工夫のひとつ、グループレッスンで学生同士のやりとりを活性化し、「楽しい」と感じてもらうためにM先生が実践している「質問を作らせる」という活動についてMs.Hidariがまとめてくださいました。
学習者に質問を作らせる
M先生が日頃実践されている活動は、「授業のはじめのアイスブレーキングタイムのときから、講師だけが学生に質問するのではなく、すぐにペアをつくらせ学生同士でQAし合わせる」というもの。講師からは「週末やったこと or やることについて、お互いに聞いてください」などお題は与えているそうです。
これはグループ、プライベートレッスンを問わず、クラス運営と会話力の上達に本当に大事な練習の一つで、私自身も日頃から心がけていることでもあります。学生は、とにかく校内外を問わず、外国人であるという属性も相まって、日本人から「質問受ける」側であることが多いですからね。
一方、私たち講師はいかがでしょうか。レッスン中、講師側も沈黙が怖いせいか、ついつい学生に何かしらの質問を投げかけがちなのではないでしょうか?しかし、これでは、ただでさえ発話への自信のなさから受け身になりがちな学生の姿勢をさらに後押ししてしまうことにもなりかねません。
もちろん質問を受けて、それなりの返答ができるというのは学生の自信につながることだと思います。しかし、どんな質問が飛んでくるのかわからない状況で、なかなかその答えを準備しておくのは難しいです。
そこで、会話自体をできるだけ長くホールドさせ、場をもたせるスキルとしての「質問力」をつけることが、学生の「会話力」上達への近道ではないかとのことです。
ちなみに、会話を持続するために必要な言語外のスキルとは、
- あいづち(そうですか、いいですねetc)
- 言い換え(「ジョギングやジムでのワークアウトが好き」という人に対して、「~さんは、チームスポーツより、一人でやるスポーツが好きなんですね」と言うなど)
- 繰り返し(「ジョギングですか」「ワークアウト!?」など、とりあえず聞こえた言葉を繰り返す→「聞いてますよ」アピールとも言う)
- 質問し続ける(疑問詞を使いこなすのが難しければ、yes-noクエスチョンでも、なんならそのまんま「質問返し」でも構いません!)
などです。授業ではまず「質問を正しくつくる」ことにフォーカスして、やっていくのがいいかもしれませんね。(「どんな音楽が好きですか」という疑問文がさっと作れない学生は実はいっぱいいます。正:どんな音楽 誤:なに音楽、なにの音楽、どの音楽、どっちの音楽etc)
描写力・説明力など学生に身につけてほしいスキルは色々ありますが、会話をホールドする「質問力」も身につけてほしいスキルの一つです。学習者のレベルに応じて「質問力」もアップさせることで、学生同士のやりとりがより活性化し、それが「楽しい」につながるのではないかと思います。
まとめ
そもそも「質問する」という行動は会話を成立させるために必要不可欠です。質問は相手に関心を持っていることを示すことにつながります。会話はキャッチボールですから、それがうまくできれば学生間の距離感はぐっと近づきます。質問することで会話の流れを誘導することもできます。
外国語を話せるようになる過程でのファーストステップは「要望や意見など準備していることが伝えられる」です。次に、やりとりが発生し「質問文が正しく作れる」ことがセカンドステップ、その次のステップが「その質問に対して的確に答える」ことかなと思っています。
実はこの方法、私自身も外国語を習得する過程で使っていました。今思えば私なりのサバイバル術だったのかもしれません。質問をいくつか用意して、相手にどんどん話をさせ自分は聞き役になり、場をもたせるみたいな感じですかね(笑)。まあ、いいかどうかはさておき、お互いに会話をした気分にもなるので充実感がありました。ぜひお試しください!
Customer Reviews
Thanks for submitting your comment!