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中級文法コラム21 「とともに・にともなって・につれて・にしたがって」
- 年を取るとともに体力がおちる。
- 年を取るにともなって体力がおちる
- 年を取るにつれて体力がおちる。
- 年を取るにしたがって体力がおちる。
今回はこちらの4つを取り上げようと思って、例文を比較してみました。
お、おおお、全部問題ない…かも。どれも、ある変化にと一緒にもう一方も変化するという意味ですね。少しずつ、だんだん変化していくような印象を受けます。うーん、違いはいったい何でしょう。
「とともに・にともなって・つれて・にしたがって」例文から考察してみた
例文比較1
- 人気歌手のコンサートチケット、発売開始とともに売り切れた。
- 人気歌手のコンサートチケット、発売開始にともなって売り切れた。
- 人気歌手のコンサートチケット、発売開始につれて売り切れた。
- 人気歌手のコンサートチケット、発売開始にしたがって売り切れた。
おや? なんか違いが出てきたんじゃないですか?この中で使えるのは、「とともに」だけですね。
「発売開始とともに」は発売開始した「瞬間」に、「売り切れ」という変化が起きているのではないでしょうか? 「とともに」にはある瞬間に、同時に変化が起きる場合にも使えるのではないでしょうか。
例文比較2
- 手術とともに入院することになった。
- 手術にともなって入院することになった。
- 手術につれて入院することになった。
- 手術にしたがって入院することになった。
こちらはどうでしょう。「にともなって」以外は変な感じがしますね。
手術とともに入院するって、入院してから手術しますよね。普通。手術と同時に入院って、どこで手術するの?って話です。緊急搬送の場合だって、先に手術して、それから入院どうしましょうかって話になりますね。
で、そんな場面で正しく使えるのが、「手術にともなって入院する」ですね。「~に関連して」とか「~に付随して」起こる変化を言うときに使うのではないでしょうか。
例文比較3
- 初めは嫌いだったあの歌、何回も聞くとともに好きになってきた。
- 初めは嫌いだったあの歌、何回も聞くにともなって好きになってきた。
- 初めは嫌いだったあの歌、何回も聞くにつれて好きになってきた。
- 初めは嫌いだったあの歌、何回も聞くにしたがって好きになってきた。
こちらはちょっと微妙な感じもしますが、一番しっくりくるのは「何回も聞くにつれて」かなあと思います。「連れて」なので何回も繰り返すうちに変化がおきるということでしょうか。
う~ん。これ、難しい…
例文比較4
- クックパッドのレシピとともに料理を作ったら、おいしくできた。
- クックパッドのレシピにともなって料理を作ったら、おいしくできた。
- クックパッドのレシピにつれて料理を作ったら、おいしくできた。
- クックパッドのレシピにしたがって料理を作ったら、おいしくできた。
これは「にしたがって」一択!!!
「従う」わけですから、レシピのとおりにという意味ですね。「レシピとともに」だと、レシピが料理を手伝ってくれたみたいになっちゃいます。または、「子牛のステーキレシピとともに」。〇〇ソースのかわりにレシピが添えられてくるみたいなニュアンスですね。
「とともに・にともなって・つれて・にしたがって」まとめてみた
「とともに」「にともなって」「につれて」「にしたがって」は全て、一方の変化に合わせて、他方もだんだん変化するという共通の意味がありますが、
- とともに…ある瞬間に同時に変化が起こる
- にともなって…~に関連して、~に付随して変化が起こる
- につれて…何回も繰り返すうちに変化が起きる
- にしたがって…~の通りに
で使い分けられています。
それぞれの文法には「変化」というキーワードがありますが、その変化のプロセスが変わることで使える文法も変わってくるのですね。深く理解しようと考えるにつれて、余計にわからなくなりますが・・・「変化」にばかりとらわれず、何故変化するのかというほうに目を向けると文法の違いに気が付けるのではないでしょうか。
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