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日本語教育:会話レッスンアイデア(初級前半編)
テキストに沿って積み上げる王道のやり方が通じない!!
- 日本在住のビジネスパーソン、仕事では日本語を使うことはない。
- 子供もインターなので、先生や保護者との会話も英語。
- レッスンは週1か2回できれはいいほう。会議や出張、バケーションが重なればレッスンは休みになる。
- 店や旅行先での会話、または会社の同僚と挨拶ができればいい。
- 複雑な文法などは習いたくないけれど、日本語の会話を楽しみたい。
みなさんが担当しているレッスンでもこのような学習者、いませんか?
「テキストに沿って積み上げる王道のやり方が通じない」という学習者が一定数います。はじめはテキストに沿って順調に勉強していても動詞の活用などが入り、覚えることが多くなるとモチベーションが下がってしまうという方がいます。
学習者は多様化していますし、学習ニーズはさまざまですので、私たちも柔軟に対応していきたいものですね。
初級前半でも楽しくできる会話レッスンアイデア
今回は『Nihongo Fun and Easy』や『げんき』の第5課あたりまで終わった人であれば誰でも楽しくできる会話レッスンのアイデアをご紹介します。
ちなみに、『げんき』の第5課までで取り上げられているのは、名詞文、動詞文(基本動詞・往来動詞)、存在文、形容詞文、これらの現在形と過去形、これらの付随する助詞などです(学習文型・語彙一覧はこちら)。できればここまではテキストを使って勉強しておきたいです。
今回ご紹介するのはこの次のステップです。既習の語彙&表現をフル活用して会話練習をし、運用練習をしていきます。
会話レッスン例(トピック:“Neighborhood”)
Useful Sentence
ここでとりあげる文はこの4文のみ。すでに過去に学習したことのあるフレーズばかりです。習ったときは言えたけれど、ミックスするとわからなくなるということ、ありますよね。まずは、この4文をテキストを見ないでスムーズに言えるようにします。
Question
この4文が言えるようになったら、次のステップは疑問文です。疑問文の作り方を確認し練習たあと、実際にQA練習をします。
1と2は対応していますので、1の文がしっかり言えるかどうかの確認にもなります。慣れてきたら、自分のことを言ってもらいます。ここで新しい語彙・学習者が使いたい語彙を追加していくと良いですね。
実は、「疑問文」を自由に作れるようになるというのが一番の目的だったりします。1の叙述文だけをぺろ〜んと言うことは日常ありませんよね。
外国語で会話をつづけるときのサバイバル方法に「自分から相手に質問をする」という方法があります。相手から質問されると、どんな質問がくるかわからないので、困ったり焦ったりしてしまうことがあります。でも、準備して自分から質問していけば、会話の主導権が握れるので、自分優位で会話を進めることがある程度できます(自分のプライドも保てたりします。⇦これ、けっこう重要だったりします・・・)
この「質問をする」ときに使いこなしたいのが「疑問文」です。「はい/いいえ」で答えられるものよりも、「5W1H」で作る疑問文のほうがより会話をふくらませることができます。相手の返答が全てわからなかったとしても、「〇〇ってなんですか」などと、さらに質問を重ねていくこともできますね。
少しずるい、小手先のテクニックかもしれませんが、「質問する」は会話力アップのトレーニングとしても効果的です。質問を通して、相手とのコミュニケーションを深めることができるからです。話す力はそこまでという人でも聞く力はあったりします。「初級でも日本語を話したい」、「会話を楽しみたい」、「インプットはあまりしたくないけどアウトプットはしたい」という人たちにとって「自分から相手に質問をする」はもってこいの方法なのです。
Other Expressions
ロールプレイをする前に、このトピックで話すときに知っていると便利な表現を紹介します。「i+1」の部分です。クラッシェンのインプット仮説(今のレベルより少し上の情報のインプットがあったときに学習が進むというもの)です。
「便利そう」「楽しそう」など様態の「形容詞+そう」は『げんきⅡ』の13課に出てきますが、便利な表現なのでここで紹介してしまいます。出てきたものだけフレーズとして覚えてもらってもいいですし、余力がありそうな人であれば作り方を紹介しても良いかもしれません。(ちなみに、私が先日行ったレッスンでは下の3つと「面白そう」「おいしそう」のみ紹介しました。)
ロールプレイ
1と2のやりとりがスムーズにできるようになったら、本日のハイライト、ロールプレイに入ります。よりスムーズに、より自然な会話をするためにロールプレイは必須です。この日に習った表現を使って自由に会話をしてください。
何事もはじめが肝心。初級のはじめから運用練習をしてしっかりして、伝わる&話す喜びや会話する楽しさを感じてほしいですね。この土台をしっかり作っておくと、学習がさらに進んでも頑張れます。オンラインでもオフラインのプライベートレッスンでもできますので、会話を中心に学習したいという方がいたら、この辺でちょっと復習をしておいたほうが良さそうだぞという方がいたら、ぜひ取り入れてみてください。
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