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『マンガでマスター!ステップアップ日本語会話』著者からのメッセージ:長井卓也
『Fun&Easy』シリーズにつづくTeam-Cotoでの3冊目『マンガでマスター! ステップアップ日本語会話』が出版されました!!!
今回は著者の一人、長井卓也から皆さまにメッセージをお届けします。
ことばと文化の関係
異文化間コミュニケーションには誤解や摩擦が起こりがちです。ある場面でどんな行動をとるか、また相手の行動をどう理解するかが文化によって異なることがあるからです。20年ほど前、こんなことがありました。
タイに友人と旅行に行った時のことです。とある美しい寺院から出てきた子供達の姿に目を奪われ、夢中でデジカメ(時代…)のシャッターを切りました(この動詞ももはや…)。鮮やかな衣装と純粋な眼差し、そして我々日本人の心をわしづかみにする「お辞儀」。僕はその全てに魅せられたのでした。
そして思わず一人の女の子の頭に手を当ててなでなで…。そう、僕が異文化摩擦の当事者になってしまった瞬間でした。
「今くらいのだったらまだセーフだけど、もう少し動かしたらアウトだった。あなたはあの子の親に怒られたかもしれない。タイでは頭は神聖な部分。やたらに触ってはだめ。気をつけて!」と、たまたまそこにいた親切な日本人(今思えば彼女は日本語の先生だったのかもしれません)に教えてもらったのです。
僕の何気ない行動が、「日本人はマナーがなってない!」などというレッテルを貼られる原因になりかねない、そんな教訓ともいえるような経験でした。
マンガで日本語の魅力を伝えたい!
さてさて、前置きが長くなりましたが・・・言語が原因で誤解や摩擦が生じることはよくありますが、言語だけマスターすればよいというものではありません。言語&文化の両輪を学ぶ必要があります。とはいうものの両方一度に説明するのは難しい、じゃあマンガの発信力に期待してみては!ということでこの本は生まれました。
今回の『マンガでマスター! ステップアップ日本語会話』、「日本のマンガという世界最高峰のサブカルチャーを通じて世界中の日本ファンに日本語の魅力を伝えたい」という思いがギュギュッとつまった1冊となっています。
この本は、文法や語彙を教えるために生活場面を選ぶ、いわゆるよくある”The 日本語の教科書”ではなく、「留学生の1年」という物語を保ちつつその場面で出てくる文法や語彙を取り上げる、という構成になっています。
初級の文法を学んだ学習者が無理なく読み進めていける!
「こんなに自然な会話で初中級学習者が読めるのかな?」という疑問が湧いてくるような自然さを保ちつつ、初級で確実に読める語彙コントロールをする!という作業に力を注ぎました。
この文法はJLPTのN3で出るものだから、N4の学習者には教えられない…などという概念ではなく、実際によく聞くもの、よく使うものを優先的にピックアップし学習者自身の正直な気持ちを抑制せずに済むように配慮しています。
例えば、一般的な教科書では「動詞の意向形」についての学習項目があります。説明の後に作り方の正確さをチェックするための練習が添えられています。
でも、実際の生活場面ではあまり聞かないし、言うチャンスもない…といった悩みを聞くのは日本語教師のあるあるですね。
「動詞の意向形」、この本では「意向形+かな?」という形で取り扱っています。「え~どうしようっかな~。」「お昼何食べよっかな~。」「こっちの大きいほうにしようかな~。」友達や家族と買い物に行ったときなど、よく使いますね、この表現。
このように、この本では自然な会話の中で使う表現を拾い、その中に理解すべき文法があるのであれば取り上げる、というスタイルを貫いています。ただし、ご安心ください。基本的な動詞活用のルールなども巻末で抜かりなくふれております。
日本人の感覚やマナーを楽しく知ること
そしてもう一つ、今回のコンセプトの一つとして強調している項目が「マナー」です。
日本語を学ぶためには日本文化の知識が必要です。日本人の行動の仕方やものの考え方など、実際のコミュニケーション場面での予備知識としてぜひ知っておいてほしいと思い、今回「マナー」を取り上げました。
この本では、冠婚葬祭におけるドレスコードからその場でかける言葉など、さらには「日本人的な感覚」についても紹介し、その言葉の持つ様々なニュアンスの違いなどにも言及しています。英語での翻訳も添えていますので、純粋に読み物としても楽しめると思います!
どこにいても自分らしく生活するために
我々Cotoの掲げるフラッグは「人が世界中どこにいても自分らしく生活できること」です。言葉とはそのために学ぶべきものだと考えています。
外国の方々が日本の異文化と対峙した時のほんのささいな行動で、本来得るべき評価が得られなかった、などというケースを1つでも減らすことが使命!と言っても過言ではありません。私のタイでのエピソードも然り。
「人生の大切な時間を日本で過ごされる海外の皆さんが、自分らしく豊かな日本語コミュニケーション力を身につけ、それぞれにとって貴重なかけがえのない経験をされますように!」
日本ファンのより豊かなコミュニケーション力を高めるために、学ぶ側、教える側を問わず広くこの本が行き渡り、みなさんの自分らしく生きるための一助になることを、著者一同心より願っております。
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