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日本語教育:多読のすすめ
日本語の本を読んでみたいんですが、オススメの読みものはありますか?
「日本語の本を読んでみたいんですが、おすすめはありますか?なるべく自然な日本語で書かれているものでストーリーがあるもの、子供に読み聞かせるようなものを読んでみたいんですが」
先日、初級(N4レベル)の学習者からこんなリクエストがあったんですが、、、とご相談を受けました。
「日本の本を日本語で読んでみたい」というリクエストはよくあります。もともと本好きの人が日常生活で読むといったら、好きなものを読んだり、リラックスするために読んだり、自分に必要な情報を得るために読んだり、、、そんな読み方を日本語でもしたい!と思うのは当然の流れです。
さて、日本語学習者にはどんな本をすすめたらいいでしょうか。N5やN4レベルでも読める本はあるのでしょうか。
いろいろな読み方
読み方にはいろいろ種類があります。日本語学校の読解授業でするのは、精読、音読や黙読、JLPT対策などで速読などもするかもしれません。
日本語学校の読解授業というと、語彙や文法に注目する分析的な読む練習ばかり。これは一冊の本が楽しくまるごと読めるような力をつけるものではありません。
学習者は本を純粋に楽しみたくて読みたいのですから、せっかくなら楽しめるような読み方を提案したいですよね。
最近、日本語業界でも注目されている読み方に「多読」というものがあります。「多読」とは日本語の読み物をたくさん読むことです。本そのものを楽しむ読み方です。
ただ、いきなり一人で好きなものを選んで読めと言ったところで、なかなか難しいものです。それに、わからないからといって読解のように一語一語辞書を引きながら読んでいたら途中で嫌になってしまいます。私たちも他の言語でそんな経験ありませんか。
なので、「多読」にはルールがあります。<にほんごたどく HPより>
- やさしいものを読む
- 辞書を引かないで読む
- わからないところは飛ばして読む
- 進まなくなったら、他の本を読む
この「多読」の考え方を本選びをするときの基準にして、学習者に読みものを勧めてみてはいかがでしょうか。
ただ、注意点もあります。「日本語学習者が読めるやさしい本=幼児本」ではない、ということです。
幼児本を読みたいというリクエストをする方がいるのですが、実はトラップがたくさんあります。幼児本には幼児語(お出かけ、ねんねetc)、オノマトペ、縮約形(ちゃった、~とくetc.)、助詞の省略などがたくさん出てきます。
なんとなく日本語に慣れていて、文脈で類推するのが得意だったり、読むのが好きという方なら難なく読めたりする方もいますが、なかなか難しいです。やはり、学習者のレベルによっては、レベル別で整形された読み物を読んでいったほうが満足度は高いのではないでしょうか。
というわけで、今回は多読の本やサイトをご紹介します。
「多読」の本・テキスト・websiteリスト
『にほんごたどく』
『にほんごたどく』のホームページにはN P O多言語多読が執筆・監修しているレベル別読みものが紹介されています。N5レベルから読める本もあります。(本or電子書籍、朗読音声のダウンロードも可能。音声が聴けるのがポイント高し!!!)
- レベル別日本語多読ライブラリー
- にほんご多読ブックス
- すらすら読める日本語多読アプリ
- Web TADOKU Books(無料)
こちらのサイトでは多読に適した一般の読みものというコーナーもありますので、ぜひ参考にしてみてください。こちらには図書館などで借りられる本もあります。
その他のオススメの読みもの
KC(国際交流基金関西国際センター)が作成した入門・初級・初中級(A1・A2・A2/B1)レベルの日本語多読用図書です。(※JFSのA1・A2・A2/B1は、JLPTのレベルだとN5, N4, N3レベルくらい)
初級〜中級レベル(N5, N4, N3レベル)の日本語で読める著作権フリーの読みものを集めたサイトです。
・みんなの日本語初級Ⅰ&Ⅱ(第2版) 初級で読めるトピック25
初級の早い段階から読むことに慣れ、その楽しさを味わうことを目指した教材です。(Ⅰ=N5レベル、Ⅱ=N4レベル)
・どんどん読める! 日本語ショートストーリーズ vol.1,2&3
アルク編集部が世界中から集めた厳選ストーリー(N3レベル以上)が20話収録されています。
インターネットで無料で読めます(今後、有料化される可能性有り)。N1〜5とレベル別に分かれているので学習者でも気軽に見ることができます。
「日本語で読めた!」という経験を重ねていくことで読む力はついてきます。語彙力や表現力もつきますし、読むスピードも早くなります。理解力も上がります。昨今は多読の効用が知られるようになって、レベルで分けられた読みものも増えています。まずは、レベルごとに学習者向けに整形された読み物を読んでいくのがよいと思います。
日本語教師としてはこの多読の効用に目が行きがちですが、、、そこはぐっと我慢で見守りたいです。まずは、本そのものを楽しむということに大きな大きな意味がありますからね。
「日本語の本を読みたい!」「日本語の本を最後まで読んだことがない!」「自分のレベルに合った本がなかなか見つからない!」そんな学習者がいたら、学習者のレベルを見て、ぜひこちらで紹介したリストをすすめてみてください。そして、楽しむためのルールもしっかりお伝えください。
>>>次回は「シャドーイングのすすめ」で「聴く」にフォーカスしていきたいと思います。
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