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「する」と「やる」って何が違うの?
「する」と「やる」、これはどちらも英語なら“do”です。
「する」と「やる」は類義語ですが、同義語ではありません。日本人母語話者も「する」ではなく「やる」を使うことも多いので、使い分けを教えなければならない動詞です。
初級のうちは「する」で統一して教えたいところですが、実際に教科書で出てくるので触れざるをえません。なるべるルールは簡単にして学習者には伝えたいですよね。
「する」「やる」両方使えるものもあれば、絶対置き換えができないというのもあります。それでは、早速使い分けについて見ていきましょう!
「する」が自然で、「やる」だと不自然または使わない例
漢語熟語の名詞+するをつけて動詞化するときは「する」の方が自然ですね。
「成功する、増加する、減少する、上達する、回復する」など意志をもって行うことではないものは「やる」の対象にはなり得ないので説明が簡単です。
「やる」が自然で、「する」だと不自然または使わない例
「やる」は単に「する」と同義というだけでなく、さまざまな動詞を包括的に指し示すような使い方があります。
また、“To-Do リスト”という言葉は日本語にすると「やることリスト」で「することリスト」とはあまり言いませんね。そういう意味では「やる」は単独の形で使えて、意味の幅が広く、ハイコンテクストな印象があります。
「やるね〜」「ちゃんとやってよ!」「まだやっていないの?」「やってらんないわ」「今日、やってます?(営業をしていますか)」「今晩、一杯やっていきます?(お酒を飲んで行きませんか)」「いやあ、小遣い3万じゃやっていけないよ。(生活していけない)」「あーあ、またやっちゃった。(失敗してしまった)」などが挙げられます。「やる」は多義的で、どこかとらえどころがないように感じます。
「する」「やる」両方使えても・・・
「する」と「やる」が両方使えるのは「N(動作・行動・行為)をする/やる」の場合です。一時的、瞬間的な行為ではなく、継続性があり、意志、意図をもって取り組むものです。
初級のテキストでは「やる」はカジュアルな話し言葉として紹介されていることも多いですね。また、どちらも使えるものであっても、「する」より「やる」の方が少しぞんざいな印象があります。「やる」は硬い場面では使わないほうがいいでしょう。
また、印象だけでなく「する」を使った場合と「やる」を使った場合で意味のニュアンス(意志の強さなど)が異なることもあります。
「Nをする」「Nをやる」で使い分けを分析してみよう
今回は「Nをする」「Nをやる」のように助詞「を」をとるもので使い分けを見ていきましょう。
ヲ格名詞の種類 | 例 | する | やる |
動作 | 旅行・スタート・発表・勉強・ダイエット・お世話・貯金・化粧・メール・準備・昼寝・アドバイス・コピー・出張・心配・引っ越し | ○ | × |
スポーツ・趣味・遊び | サッカー・ジョギング・ゲーム・トランプ・将棋・釣り・ピアノ・ギター・ボランティア | ○ | ○ |
イベントなどの共同動作 | イベント・試合・会議・部活・バンド・結婚式 | ○ | ○ |
役割・仕事 | 家庭教師・司会・モデル・弁護士・教師・料理長・人事 | ○ | ○ |
様子 | きれいな髪・うれしそうな顔・鋭い目つき・派手な格好 | ○ | × |
生理現象 | あくび・息・くしゃみ・せき・おなら | ○ | × |
病気の経験 | 大病・はしか・インフルエンザ・骨折 | ○ | ○ |
付帯・着装 | アクセサリー・時計・指輪・マスク・サングラス | ○ | × |
映画・放送番組 | ドラマ・ニュース・映画・『ゴジラ』 | × | ○ |
習慣的嗜好(男性的) | タバコ・酒・麻薬 | × | ○ |
さいごに
ちなみに、goo辞書の類語辞典では
- 1.「する」は、ごく一般にいろいろな動作、行為についていう。
- 2.「やる」は、口語的な表現。具体的な内容の目的語をとるより、漠然と動作、行為を表わすことも多い。
- とありました。
「する」と「やる」の使い分け、テキストなどで明確な記述もあまり見たことがありません。気になっていながら、なんとなく語感やニュアンスの違いでやり過ごしてきた人も多いのではないでしょうか。
ある単語と単語のよく使われる組み合わせをコロケーションと言います。これを機に、「やる」と「する」も例文をたくさんあげて、コロケーションを見てみるのも面白いかも知れませんね。
コロケーションを検索できるサイトに、日本語作文支援システム「なつめ」というものがあります。無料ですのでぜひ使ってみてください。
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