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チャットコミュニケーションの罠 ~日本語教師のメンタルを守るために~
チャットコミュニケーションは難しい!
私は仕事でいろいろな企業さんにお邪魔するのですが、例の感染症や働き方の多様化を背景に、在宅ワークに切り替えたり、在宅勤務の日数を増やした企業さんが多くなったなと感じております。コミュニケーションの場や手段は変化しています。
働く場所が在宅であれオフィスであれ、社内コミュニケーションはチャットで行っているという企業は、今や珍しくなくなりました。
ただ、社員の方々から次のような声もよく耳にします。
「チャットは便利だけど、やっぱり対面の方が話しやすい。打つのが面倒だし」
「チャットだと感情が伝わってこない。実は部下が何か悩んでいるじゃないかと気になっている」
「気軽に話せるように雑談用チャットを作ったはいいが、誰も投稿しない…」
「意味不明な投稿がたくさんある。これは報告か?ポエムか?という投稿を読むのにイライラしている」
「重要な情報を送っているのに、読み飛ばされているのかリスポンスがない」
「チャット上でけんかが始まった…」
以前、オンラインでのCotoの取り組みを紹介させていただきました。
オンライン日本語教師は「孤独」なのか?【Cotoの取り組み】 – 日本語教師応援サイト コトハジメcotohajime
しかし、記事を投稿した後、私はだんだん心配になってきたのです。オンラインでも対面に劣らずコミュニケーションは十分に取れる!これからの時代はオンラインのコミュニケーションだ!…と言いたいのだと勘違いされてしまうのでは??…と。
いえいえ!やはり難しいのがオンラインコミュニケーションです!
特にチャットは、対面よりもコミュニケーションミスが起こりやすく、情報過多になりやすく、そして人によってはストレスに感じやすいという特徴があると思います。
私はこれまでCoto以外にもオンライン上で完結する仕事をいくつかしてきましたが、幾度となくオンラインによるコミュニケーションの壁に直面しました。「事件」も頻発し、それらのストレスであわや不眠症になりかけたことも…。
というわけで今回は、私の経験談(黒歴史?)も踏まえながら、チャットコミュニケーションでの陥りやすい罠と、罠に陥らないためのしくみやマインドセットについて考えていきたいと思います。
陥りやすい3つの罠
罠① プラットフォームの治安維持が難しい
チャットコミュニケーションは、相手の声が聞こえず、顔も見えないため、一見ドライな環境に思えます。しかし、だからこそ相手への配慮や思いやり、マナーといったものがより一層必要になります。
具体的には、このような考えです。
- 相手が読みやすいように分かりやすく簡潔に書こう
- 返信が遅れることを一言伝えておこう
- 自分である程度調べてから質問しよう
- 感謝や労いを言葉で伝えよう
ちなみに、私が以前契約していた会社での経験としては…
投稿内容がただの愚痴なのか報告なのか相談なのか分からず、意図を確認するため何度もやり取りが発生したり…
こちらから働きかけないと永遠に返信がこないので、毎回毎回リマインドしたり…
マニュアルに載っていることを自分で調べず「おしえてくださーい」と何度も聞かれるため、最終的には「検索&質問の仕方講座」を開催したり…挙げればキリがありません。
言葉の応酬も何度か目撃しましたが、チャット上だと周りは仲介しにくいですし、仲介したとしても泥沼化するのがオチです(悲)。問題が起こった時は、チャットでやりとりするのではなく、直接会うとか会議システムを使うとかして話し合ってもらうのが一番効果的でした。
集まっている人の属性にもよるでしょうが、チャットコミュニケーションは、無駄なやりとりが増えやすく、場が荒れて治安維持が難しいと痛感しました。
罠② 読む側・書く側双方に文章力・読解力がないと詰む
私が訪問先の企業さんで最も耳にするのが、文章力や読解力に関する問題です。
具体的には、このようなものです。
- 相手が何を言いたいのか分からない
- 文章量は多いのに、内容はカルピスを何倍にも薄めたようなもの
- 自分の言いたいことが伝わらない
書き手の文章力にも問題があるケースもありますが、読み手の読解力や意図把握力にも問題があるケースもあります。さらにチャットという特性上、周りでその投稿を見ている人たちに「いや…そういうことじゃないんだよな…」とストレスがたまりやすいのも頭が痛いところです。
かくいう私も、過去の自分の文章を読み直し「うーん、くどいな…」「これは誤解を招きそう…」と思うことも多々あり、偉そうに言える立場ではありません。
どうやったら文章が上手くなりますか?文章力を上げるトレーニングはどうしたらいいでしょう?といったご相談を受けることもあります。ただ、指導に時間をかけた割には目覚ましい文章力アップはなかなか望めないですし、そもそも忙しい業務の合間にトレーニングをすること自体が現実的ではありません。
文章量に制限を設けたり、テンプレートを使用したりするといった対応が現実的だと思います。また、AIの助けを借りるものアリですね。
罠③ 情報過多になりやすい
情報化社会と言われて久しいですが、あまりにも多い情報は私たちを疲れさせます。
情報そのものの多さも原因としてあるでしょうが、それ以上に「すべての情報を処理しなきゃ!」「全部の投稿を読まなないと!」といった完璧主義志向が強く影響しているような気がします。
以前、ある会社と契約して仕事をしていた時、所属しているメンバーから「忙しくて投稿が全部読めていない」という声が多く挙がり、「え!!全部読もうとしているの!!??」とビックリしたことがあります。重要な連絡だけでなく、すべての投稿を読もうとしているのを聞いて、それは忙しさが原因ではなく、マインドセットに問題があるのではないかと思ったのです。
余談ですが、私がCotoにお世話になり始めたときに、スタッフさんから「チャットでのやりとりや情報が多くて大変かもしれませんが…」と言われたのですが、これまで1日のメール100件、チャットの投稿200件みたいな環境に慣れていた私は、「むしろCotoはかなり少ない方!」と感じております。
もし情報が多くストレスに感じているなら、以下のようなマインドセットが役に立つかもしれません。
- 80:20の法則を意識する:20%の重要な情報に集中する
- デジタルデトックスをする:今日は〇時~〇時までスマホやPCを見ないと決める
- ミュート・リマインド機能を味方につける:急ぎの要件以外ミュートにして、リマインド機能を使い一気に処理する
また、情報過多にならないための仕組みやルールの見直しも大切です。
例えば、宛先「ALL」と宛先「個人」の投稿内容のルールを見直す、重要な要件とそうでない要件の部屋を分ける、最初の一行目はタイトルにして一瞬で内容が分かるようにする、「要返信」「アンケート」「相談」など共通用語を使って読み手の負担を最小限にする、情報を一箇所に集約する、どんな情報がどこにあるか一覧でわかりやすくする、などです。
チャットと上手な付き合いを
今回は、チャットコミュニケーションでの陥りやすい罠と、罠に陥らないためのしくみやマインドセットについて考えてみました。個人的な経験がベースとなった内容で恐縮です。
対面は対面でコミュニケーションは難しいですが、チャットはチャットで罠だらけですね…。
かといって、これだけDXが進んだ時代に、オンラインで済む仕事なのに多くの時間や交通費を使って移動したり、相手を束縛する電話やオンライン会議を常用するのはいかがなものかと思います。
オンラインコミュニケーションのメインプラットフォームとなるチャットは、コミュニケーションツールとして必要不可欠な存在となりました。
マインドセットやルールを振り返り、チャットと上手な付き合いをしていきたいですね。
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