中級文法コラム29.とうとう ついに やっと ようやく

中級文法コラム29.とうとう ついに やっと ようやく

 

助手:博士、ついに完成しましたね。
博士:うむ。これでようやく私の研究も世界に認められるだろう。
助手:とうとう博士の時代が始まりますね。
♪ピンポーン
助手:あ、Uber来たみたいですよ。
博士:やっと来たか。腹が減ったぞ。

こんにちは。今回取り上げるのは、「とうとう」「ついに」「やっと」「ようやく」です。

(とうとう・ついに・やっと・ようやく)N2に合格した!

「ついに」を辞書を引くと「とうとう」が出てきて、「とうとう」で調べると「ついに」と出てくる・・・。あるあるですね。でも、それぞれニュアンスが異なります。ネイティブの私たちはなんとなくこれらを使い分けています。例文を比べて、意味・用法を探っていきましょう。

とうとう

<例文>

  • このドラマシリーズもとうとう最終話か… もっと見たかったな…
  • 宝塚の舞台を目指し、子どものときからがんばってきたが、とうとう入団試験には合格できなかった。
  • 何度もけがを乗り越え、彼はとうとうチャンピョンに上り詰めた。

<所感>

「とうとう」は、いつかはわからないけれど、そのときが来るのはだいたい予想していたという時に使われます。その結果が出るまでの過程が長かったなということで、過程にフォーカスしています。

また、「とうとう」を使うときは、あーこの時が来てしまった…という残念なニュアンスを含んでいるように感じます。楽しんでみていたドラマシリーズが終わってしまう。いわゆる「〇〇ロス」ってやつですね。心にぽっかり穴があいてしまうというか。

努力が報われなかった宝塚歌劇団の入団試験、長く続けてきたことが終わってしまういつかその時が来るのはわかっていたけど、来てほしくなかった〜、なかなか思い通りにはならないぜといった感じでしょうか。

じゃあ、これはネガティブな結果のときにしか使わないのかと思いきや、「とうとうチャンピオンになった」とポジティブな結果のときにも使います。けがを乗り越えるなど、大変な時期はあったけど、彼はチャンピオンを取る器だと信じていたのでしょうね。そういった感慨深さを表すこともできそうです。感慨深さを感じると同時に、心にぽっかり穴が開く感じもあるのかもしれませんね。

 

ついに

<例文>

  • このドラマシリーズもついに最終話か… 誰が黒幕だったのか、これではっきりするだろう。
  • 去年も、おととしも不合格だったけど、ついにJLPT N2に合格できたよ!
  • 何度もけがを乗り越え、彼はついにチャンピオンになった。

<所感>

「ついに」はこの時が来るのを待ちわびていた時、長い時間を経て最終的にある結果に到達した時に使われます。

長いドラマシリーズをずっと見てきて誰が黒幕なのか早く知りたい、最終話を見るのが楽しみだという気持ちが伝わってきますね。JLPTに合格する日を待ちわびていた、彼がチャンピオンになることを待ち望んでいたなど、到達したり実現したりしたときの喜びを「ついに」で聞き手に伝えることができます。

 

やっと

<例文>

  • やっとバスが来た。ほっ。
  • 無意味な会議がやっと終わった。あー、早く自分の仕事に戻りたい。
  • 部下のレポートがやっと提出された。いつまで待たせるんだ。まったく・・・。

<所感>

「やっと」は口語的な場面で使うことが多いです。バスが来るまで、レポートが提出されるまでの時間が長すぎるんだけど…という個人的な感想。

でも、長い時間がかかったり苦労が続いたりしたけど、とにかく問題が解決した・終わった・実現したんですね。そういう意味では結果に意味の重点がおかれていると言えるでしょう。

また、「やっとのことで」や「やっとの思いで」という表現もあります。苦労の末に結果を出して、これまで大変だったけど望んでいた結果が出たよ! という気持ちを表現しているのだと思います。

 

ようやく

<例文>

  • 計画から30年が経ちましたが、ようやくこの町に鉄道が開通しました。
  • シーズンも後半に入り彼の打率が上がってきましたね、ようやくスランプから抜け出したようです。
  • 植え付けから5年が過ぎてようやく実がついた。

<所感>

「ようやく」は長い時間や労力を費やしたというところに意味の重点が置かれているように思います。

鉄道開通までに30年の時間を要した。彼がスランプを抜け出すのに前半戦を犠牲にした。果樹が実をつけるまでに植え付けから数年はかかった。などといった結果が出るまでの過程に重きが置かれています。

 

「とうとう」「ついに」「やっと」「ようやく」のまとめ

  1. とうとう:いつか来るであろう時が来たという実感。結果はさておき、その過程が長かった、いろいろあった。過程にフォーカス!
  2. ついに:長く待ちわびたことが実現したという気持ち。ポジティブな結果になる場合もネガティブな結果になる場合もあるけど、とにかく結果が出た。結果にフォーカス!!
  3. やっと:長くて大変だったけど、「思い通りに終わってよかった」というポジティブな結果にフォーカス!!
  4. ようやく:長い時間をかけて少しずつ良い方向に変化してきたという過程にフォーカス。

いや~、やっと書き終わった。今日もお疲れさまでした。

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