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スライドを使った日本語レッスン準備のコツ
昨今はプレゼンテーション用ソフト(以下、スライド)を使ったレッスンが当たり前になってきました。Cotoでもオンラインレッスンはもちろん、対面授業でもパワーポイントやGoogle スライドを使う講師が増えました。
学習者の立場に立ったレッスンができていて、スライドがあることでレッスンが効率的に進められていて、スライドが十分な発話を促すための助けになっていれば全く問題ありません。みなさんのレッスン、いかがでしょうか。
スライドは使い方や作り方を誤ると、学習者にとって苦痛に感じることが多々あります。また、スライド画面を出しっぱなしにしていれば、学生の目線はどうしてもそちらに向いてしまいます。講師自身がスライドに振り回されてしまうなんてケースもあります。これでは本末転倒ですね。あくまでもスライドは学習者の理解を助けるために用いる補助的な道具です。
レッスン準備は例文を作ったり、文型を分析したり、教案を作成したり、ただでもやることが盛りだくさん。あれもこれもと注力することはできませんから、スライド作成はできるだけ時間をかけず済ませたいです。でも実は、私は見た目にはとってもこだわりたいタイプ。本日は費用対効果を意識したスライド作成のマイルールを皆さんにシェアしたいと思います。
マイルール① 見やすいレイアウト
まずはテクニカルな面からのマイルール。事前にレイアウトに関するマイルールを決めておくと、コンセプトがブレずに統一感のあるスライドが楽に作成できます。統一感のある見た目は学生にとっても安心感につながるで一石二鳥です。
文字
- 字体は、見やすさを考慮し【游ゴシック体】を使用しています。
ひらがな導入時、または習いたての学習者がレッスン対象なら【UDデジタル教科書体】がおすすめです。パソコンによって字体は異なるので、ひらがなの「ふ」「さ」「き」「な」「り」あたりでチェックしてみると良いでしょう。 - 文字のサイズは、40~48を使用
ただし、1文は1行におさめたいので要調整。活用表などは1枚でまとめたいので例外。 - 行間は2.0。こちらも見やすさ重視で、スペースはとっても大切!
- 文字の色は最小限に!意図をもって色を使い、同じパターンにしておくことで説明の手間が省けます。
たとえば、初級の前半なら、文は黒、否定文は赤、助詞は青、疑問詞はみどりといった感じです。
イラスト
同じWebサイトのイラストを使用すると統一感があります。イラスト・写真を使う際は著作権に注意しましょう。
というわけで、百聞は一見にしかず。以下は使役受け身のスライド例です。今回は「いらすとや」を使って作成しました。
導入・活用・確認はこの3枚。もちろん合間に変形練習、ちょっと難易度を上げて「会社の飲み会です」と場面を提示し、「私は上司にお酒を・・・」「カラオケで歌を・・・」などと口頭でキューを出して練習します。最後にテキストの問題で確認すればOK。
マイルール② スライドはあくまでも補助的なもの
細かくきっちり作れば作るほど、スライド通りに授業を展開したくなるものです。入念に書いたシナリオに縛られて身動きがとれなくなることも。なので、ある程度の余白が必要です。レッスンは生物、不意な質問や学習者の絶妙なパスで思いがけない展開になることも多々あります。そして、この化学反応がリアルなレッスンの醍醐味だったりします。
何度も言いますが、スライドはあくまで補助的なものです。頼りすぎ&作り込みすぎで生のレッスンの良さや講師のフレキシビリティが失われてしまうのは残念なことです。私は以下の3点を心がけてスライドを作成しています。
ミニマルな情報量
ここで言うミニマルは不要なものを積極的に減らして、本当に必要なもの、最低限のものだけにするということ。見やすさにも通じます。こちらの意図を明確に伝えるためにも、初級の文型導入なら1枚のスライドにはイラスト1枚と1文でOK!上のスライド例1枚目が使役受け身を教える上で考えた私のミニマルです。
アニメーションの是非
カーソルをぐるぐる動かしたり、アニメーションで画面が頻繁に変わるのって意外とうっとおしいんですよね。また、講師がアニメーションの操作に振り回されて、学習者の様子がしっかり観察できていないのも残念。なので、私はアニメーションは極力使わない派です。(そもそも私の場合、レッスン中にスライドに書き込むことがあり、スライドショーを使っていません)
スライド例の2枚目の動詞の活用は、アニメーションを使って、まるで板書しているかのように見せていくこともできますね。意味があること(=学習効果がある)であれば、アニメーションを取り入れるのも良いでしょう。
コスパ&タイパ
こだわりが強い人は永遠に作成作業を続けてしまいます。作り込もうと思えばいくらでも作り込めます。そして、この作業が楽しくなっちゃう人もいます。でも、これでは作業時間がとられるばかりで、タイパ&コスパは最悪です。
また、やっているうちにあれもこれもと盛り込んでしまい、スライドの枚数が多くなると、レッスン中パソコンを操作する時間は確実に増えます。できるだけ学習者の顔を見てレッスンをしたい、たくさん口頭練習もさせたいと思うのであれば、スライドは必要最小限にとどめておくのが賢明です。
スライド例の3枚目は①〜③と番号を振っています。場面を伝え、「①をお願いします」「②番、どうぞ」と指示が出せます。その後、QAなどもできますし、皆さんの子どものころはどうでしたか?と広げていくことができますね。1枚のスライドでいろんな練習が可能というのが理想です。
このように最適化していくことで、スライドを使うことの本当の意味や価値が生まれてくるような気がします。これまでのレッスン準備を振り返る良いチャンスだと思って、一度見直してみていかがでしょうか。
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