2.どうしてカタカナ語の発音は英語の発音と違うのか。
音の違い:開音節と閉音節
日本語はいつも母音(V)で終わる(CVCVCV)のに対し、英語は子音(C)で終わる言葉が多いという特徴があります。母音は声帯を振動させて音を出すのではっきり聞こえます。一方、子音は声帯を振動させませんから、「ハー」「スー」と息を出したような音となります。つまり、日本語は声の音、英語は息の音と言えます。
音声学では母音で終わる音節を開音節と言い、子音で終わる音節を閉音節と言います。(日本語の閉音節は撥音の「ん」と促音「っ」で終わる音節のみ。特殊音は次回取り扱います。)
日本語は開音節言語です。イタリア語、スペイン語等も開音節言語になります。英語、中国語、韓国語は閉音節言語です。
日本語はこの「子音で終わる」という状態がどうも気持ち悪いのです。それに、日本語の五十音表を思い出してください。日本語はいつも子音(C)+母音(V)はセットなので、表記する方法もないのです。
じゃあ、どうするか。
母音をくっつけます。日本化するんですね。例えば・・・
belt→beruto ベルト tights→taitsu タイツ hotel→hoteru ホテル date→dēto デート
この日本化を開音節化と言います。
英語話者だからカタカナは簡単でしょう、音の数も日本語は少ないから楽でしょうと思いがちですが、とんでもない。全く音がちがうので、聞き取りも発音も非常に難しいのです。カタカナ、英語話者にとってはなかなか厄介な存在なのです。
アクセントの違い:高低アクセントと強弱アクセント
アクセントは日本語にも英語にも存在します。ただ、アクセントの種類が異なります。
日本語は声の高さでアクセントを調整します。日本語は開音節言語で母音で終わる声帯を振動させる音のため、アクセントは音の高低で行います。「雨(あめ)」と「飴(あめ)」場合、「雨(あめ)」のアクセントは高低、「飴(あめ)」は低高のように音の高さ(ピッチ)をを上げ下げして区別します。これを、高低(ピッチ)アクセントと言います。
例えば、「バレンタイン」は
一方、英語は子音で終わる声帯を振動させない音が多いため、声ではなく息を出す音になります。英語は強弱でアクセントをつけます。これを強弱(ストレス)アクセントと言います。英語は息の強弱でアクセントを入れるため、音の高低は生じません。
例えば、valentineは[vˈæləntὰɪn]、advice[ədváis]です。
その他:母音の無声化
日本語は開音節言語でいつも母音で終わることが多いと書きましたが、単語が母音「い」「う」が子音にはさまれたとき、または子音に「い」「う」がついた音が語末や句末に来たとき、母音がなくなったように聞こえることがあります。これを母音の無声化と言います。耳のいい学習者には必ず指摘されますので、頭の片隅においておくと良いでしょう。
例えば、「あした」の「し」、「おつかれさまでした」の「つ」や「し」、「ありがとうございます」の「す」を無声化せずに言うと、少し違和感があります。
カタカナ語で例を挙げると、「アドバイス」の[su]は[s]と子音だけ発音します。「アクセント」の[ku]は[k]と子音だけ発音します。
東京方言の日本語の発音では原則として無声化しますが、無声化しなくても誤りではありません。地域によっては無声化をしない場合もあります。
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