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中級文法コラム16.「〜について」「〜に関して」「〜に対して」
夏のイベントに関してお伝えします。
まず、日時ですが8月28日、日曜日の午前10時からに決定しました。
昨日判明したんですが、28日は大手テレビ局のボランティア番組とかぶっちゃったので、お客さんとられちゃうかもしれません… 実行メンバーの皆さん、がんばってください。
あ、実行メンバーは岡部さん、河内さん、福永さんの3名です。
岡部さんは昨年も担当されたので、岡部さんにリーダーをお願いしたいと思います。
会場は昨年と同じく、Cotoホールを使用します。
では、Cotoホールでの作業についてお話いたします。
前日の午前10時より搬入開始…
以上の内容に対して、ご質問、ご意見などありますか?
「〜について」「〜に関して」「〜に対して」の使い分け
今回は「について」「に関して」「に対して」を取り上げます。
「に対して」は何となく違いがありそうだけど、「について」「に関して」は同じじゃないの?「に関して」は「について」よりちょっと硬いだけじゃないの??って、思いますよね。同じってことにしてしまったほうが楽だけど、学生に違いを聞かれたら「同じ」って言ってしまっていいのでしょうか。
「〜について」vs「〜に関して」
僕なりの解釈ですが、「に関して」は漢字のとおり「関係がある話題」なのかなと。一つのトピックに関係・関連するいくつかの話題を話すときは「に関して」を使い、一つのトピックをより詳しく話すときは「について」を使っているのではないかと思います。検証していきましょう。
上の例文で考えると
「夏のイベントに関してお伝えします」
→これは、イベントに関係があるいくつかの話題を話しています。日時、他のイベントとの日程重複、実行メンバー、開催場所などですね。 関係があれば、少しぐらい本質からずれた話題でも良さそうです。
「Cotoホールでの作業についてお話いたします」
→これは、Cotoホールでの作業をより詳しく説明しています。
他の例文を作って比較してみましょう。
<例1>
「昨日、テレビ番組で自動車に関して話していましたね。大手のメーカーの業績は上がっているようですが、下請けの企業はメーカーからの値下げの圧力で悲鳴を上げているそうですよ。で、そういった下請け企業の従業員は給料が上がらないから自動車が買えないらしいんですよ。結局それでは経済が回らないから自動車業界の衰退につながるんじゃないかって専門家は警告していました。」
→自動車そのものの話ではなく、自動車に関係がある企業や経済などの話
「昨日、テレビで最新の電気自動車について話していましたよ。今まで懸念されていた充電時間と航続距離が大きく改善されているそうです。最高時速も150キロと高速道路でも問題なく走れます。」
→電気自動車の性能など、自動車そのものの話
<例2>
「猫に関しての本」
→ 猫そのものから、猫カフェの紹介、猫グッズの紹介、猫を飼っている人へのインタビュー記事、「猫」のつく人名地名… 猫以外の話題にも広がる
「猫についての本」
→ 猫の種類、猫の生態、猫の飼い方、猫の研究… 猫自体、猫から離れない話題
「〜に対して」
僕の意見、皆さんはどうお考えでしょうか?
「たいした違いはないでしょ!」「こじつけだよ!!」と思いますか? それとも「確かにその通り」「言われてみればそうですね」と思いますか?
どちらでもかまいませんが、皆さんが今、僕の意見に向けた行為が「対して」になります。
相手に行為を向けるとき「に対して」を使います。
「僕の意見に対して、皆さんは賛成しました/反対しました」
→賛成(反対)を向ける相手は「僕の意見」
「メーカーに対して苦情の電話を入れた」
→苦情を言う相手はメーカー
「ミスの多い同僚に対して不満を持っている」
→不満を向ける相手は同僚
こうやって見ると、ネガティブな印象ですが、
「子供たちは大谷翔平選手に対して憧れを抱いている」
→子供たちが憧れを向けている相手は大谷選手
もちろん、このようにポジティブな使い方もできます。
このように、違いがわからず、「同じ」にしてしまいたい表現こそ、違いが見つけられると説明しやすいですね。文法書や解説書には書いてなくても、こういう違いがあるんじゃないかという意識で見ると、いろいろ気が付くことがあります。そうやって見つけた使い方は、自分で見つけた用法なので説明もできるし、学生からは、あの先生は違いをしっかり教えてくれるなんて思ってもらえるかもしれません。
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