ちょっと不思議な日本の文化 Part.1

ちょっと不思議な日本の文化 Part.1

「外見」を褒める

世界では外見を褒めるのはNG!

日本以外の国、とくにアメリカやカナダ、オーストラリアのような多民族が住む国では外見について触れることは失礼になることが多いです。移民が多い国になると、みんな違うのが当たり前ですからね。

親しくもないのに初対面で指摘したり、本人が変えようがないことについて触れたりするのはNGです。例えば、「鼻が高いですね」「背が高いですね」「細いですね」「目が青いですね」「肌が白くてキレイですね」「髪が茶色いですね」「お若いですね」「ホリが深いですね」「スタイルがいいですね」などなど。

 

日本の常識は世界の非常識、世界の常識は日本の非常識!?

日本人にとってみたら褒めているのにどこが悪いの?私がそう言われたら嬉しいのにどうして?と思う方もいるかもしれませんね。日本人にとって「鼻が高い」は褒め言葉でも、外国人の中には「鼻が高い」ことを気にしていて不愉快に感じる人もいます。日本人の“常識”(=自分の思い込み)が外国人にとっては“非常識”になることがあるのです。

じゃあ、褒めたいときはいったいどうやって褒めればいいの?と思われる方もいるでしょう。その時は見た目をそのまま褒めるのではなく、「私は〇〇が好き」と私の感情を述べると良いでしょう。また、洋服やアクセサリーなど相手のセンスをほめるのもアリです。褒め上手な日本語学習者は多いですが、観察してみるとそのような褒め方をしています。

「外見を褒める」のは普通で悪いことではないという文化で育ってきた全ての日本人の行動や言動を変えることはできないかもしれませんが、このような文化の違いについて少なくとも私たち日本語教師は知っておいたほうがいいですね。

 

外国人に伝えておきたい日本のこと①

ということで、日本に住んでいる外国人にも日本では人の外見を褒めることが良しとされていることを伝えたい、そして、知っておいてほしいと思います。

例えば、初級の前半では「〜ています」(痩せています・太っています・メガネをかけています)や形容詞(背が高いです・目が青いです・髪が長いです)などを導入します。最初のチャンスです!

テキストでは「背が高いですね」「痩せていますね」という言葉が褒め言葉として紹介されているわけではありません。まあ、「田中さんは痩せています」「あの背が高い人がトムさんです」「メアリーさんは目が青くて大きいです」も十分違和感がありますが・・・

日本語学習者は自分の国でタブーな発言は日本でもしないので、自ら上の例のような言葉を発することはありません。彼らの表情に???が見えたら、ぜひこのことを伝えてみてください。

 

謙遜する

日本では謙遜は美徳

また、日本人の謙遜するところも違和感を感じるようです。例えば、「つまらないものですが・・・」「いや、とんでもないです」「いやいや、それほどでも」「たまたま運が良かっただけで・・・」「うちの妻は料理が下手で・・・」「うちの子は勉強も運動もダメで・・・」などなど

外国人であっても仕事などで自分の評価に影響することでなければ、へりくだることもあります。ただ、なぜ自分の家族をわざわざけなすのか、なぜそれほどまでに自分を卑下するのか、なぜそんなにネガティブなのか、、、理解し難いようです。自己肯定感うんぬんとは対極にありますね。

日本では謙遜は美徳。他人に気を配って皆と同様に振る舞うのは重要なこととされています。傲慢に聞こえるような発言をしたら嫌われるかも、皆と違う人は社会的に損をすると思っている人も少なくありません。

 

外国人に伝えておきたい日本のこと②

ここは賛否を述べる場所ではないので、これ以上は言及しませんが、日本人自身もそのような謙遜する言い方は日本独特なものだと知っておく必要があります。外国人には「聞いていて不思議に思うかもしれないけれど、挨拶やマナーみたいなものだと思ってよ」と伝えるのはいかがでしょうか。これも、日本語を通して文化を伝える担い手、日本語教師の役目だと思っています。

「謙遜」を学ぶこと=「日本人らしく話す」というわけではありません。褒められて「いやいや、それほどでも・・・」とへりくだる必要は全くありません。「ありがとう」でいいのです。日本人はそう表現するということを知識として知っておくことが重要です。

 

『みんな違って、みんないい』by 金子みすゞ

外に出て、世界を見て、世界の人と触れ合って、はじめて思うこと・気づくことはたくさんあります。言葉がそれぞれの文化や歴史を背負っていて、ものの考え方や感じ方に大きな影響を与えているということに気づけるのが語学学習の面白いところでもあります。

『みんな違って、みんないい』多様性を象徴する名句ですね。良し悪しではありません。そういう文化の国もあるんだということを知ることがお互いの文化を理解する上で大切なのかもしれません。

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